第3話 魔法の練習
光に包まれて余りの眩しさに目を瞑っていたのだが肌にヒューと風を感じたのでゆっくり目を開けると颯爽と草木が生い茂る森が目に入った。
「無事に転生することが出来たのか。うお、俺の体が色白になってる。それに身長も高くなってる気がする」
自分の体を見てみると日に全く当たっていないような純白の肌。視界も高くなっていた。服は神様がプレゼントしてくれたのか川のブーツと緑色のズボン、緑色の上着を着ていて外套を羽織っていた。腰には小さいウエストポーチ、背中には矢筒と矢がかかっていた。
「こんなに装備が整っているとは思わなかった。神様本当にありがとう!」
拓哉は聞いているか分からないが神様にお礼を言った。
『これぐらい何の変哲もない普通の装備だから気にしないで』と神様の声が聞こえたような気がしたが気のせいだろう。
「街に入るためにはお金が必要だって言ってたしな。魔物を探さないといけないけどまずは魔法と弓がどれぐらい使えるのか試してみないと。今の状態で敵と出会ったら危ないもんな」
まずは魔法を試しに使ってみようと手ごろな木に試し打ちすることにした。
「火魔法は森が燃えてしまう可能性があるから。ここは無難に水魔法かな。魔法を使うにはイメージしないといけないんだったな。バスケットボールぐらいの大きさの水の塊が打ち出される姿を思い浮かべる。次に魔力を使って打ち出すって言ってもな…魔力なんてどういう感覚なんだろ」
魔力を感じるために目をつぶって意識を集中して体の中にある魔力を探していると血流のように全身を駆け巡っているエネルギーを見つけた。
「もしかしてこれが魔力なのか?取り敢えずこのエネルギーを使えば行けそうな気がする。ウォーターボール」
イメージ通りのバスケットボールサイズの水の塊がピッチングマシーンから打ち出される野球ボールみたいに高速で木を貫いた。
「えっ、ウォーターボールってこんなに強かったけ?よくあるラノベでは誰でも使える初級の魔法だったりするんだけど。イメージだけでこれぐらい変わって来るとかマジでヤバすぎ。人に当たったりしたらパーンって頭が破裂しちゃいそう…」
ハイエルフという魔法に優れた体の補正もあって拓哉の魔法は最強に近い。同じハイエルフ同士の戦いになっても魔法の種類と地球人の発想力の前では足元にも及ばないだろう。(これは強くなればの話だが戦闘経験の差で今の拓哉なら絶対に負ける)
「そう言われてみればまだ自分の顔見たことなかったな。氷魔法で鏡みたいに姿を反射させればいいんじゃないか?」
相と決まれば頭の中で2mぐらいの氷の板をイメージする。
「よしこんなもんかな。アイスミラー」
この世界でも使い手の少ないレアな氷魔法をこんなアホみたいな使い方をするのは彼が初めてだろう。
「えぇぇぇーこれが俺!ドン引きするぐらいイケメンなんですけど…。こんな顔の人が地球に居たら絶対にスカウトされるレベルだな」
氷の鏡に映った自分の顔を見た拓哉の声が森にこだまする。目鼻立ちがはっきりしていて鼻も高く、色白光に照らされて輝く銀髪。瞳は緑色で宝石のように綺麗だった。
「こりゃあハーレムも夢じゃないかもしれないな。フフフフフフ。あっ、涎がたれちゃった」
男なら一度は憧れるハーレム。超手に抱えきれない位の美女を侍らせる自分の姿を想像してだらしない顔で不気味な笑い方をしていたせいで涎が出てしまったのでポケットに入っていたハンカチで口を拭う。
「そうと決まればさっさと魔物を倒して町に行くぞ!」
拓哉(彼女いない歴18年=年齢)はハーレム目指して森の奥へと進んでいく。
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