1章 5000年前(過去)編

第1話 拓哉の死と転生……①

 2022年の1月1日日本中がお正月気分だったとき。いたって普通な大学生宮川拓哉はゲームショップのゲームソフトがランダムで5つ入っている福袋を握り締めてワクワクしながら歩道橋を渡り階段を下りていた。


「この中にはどんなゲームが入っているんだろう。クソゲーとかが入っていたらマジで嫌だけど。まだまだ冬休みで時間もあることだしクソゲーでもやってみよ。

 あっ!」


 拓哉は階段を下っていたはずなのに後ろから急いで階段を降りている人にぶつかられて階段を踏み外してしまい勢いよくゴロゴロゴロゴロと転がってしまい地面に勢い良く頭をぶつけてしまった。


『あっ……これ……死んだわ。誰よりも先に…し…死んでしまう…なんて親不孝者だな…。ゲームもしたかったし……やりたいこと…いっぱいあるのに……」

 頭からは真っ赤な血がドクドクト溢れ出ており少しずつ視界が霞んできた。


『来世があるならもっと楽しく自由に生きていきたいな』

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『ここは何処なんだ?確か俺は階段から落ちて死んじゃったはず。それに体の間隔も無いし声も出ない……』

 死んだと思ったら全てが真っ白の世界に拓哉はいた。体を動かそうにも手足が無く。自分の体はもやの様な存在になっていてふわふわと空中に浮かんでいた。


『マジでわからん。俺は一体どうなったんだ?』

 頭の中はパニック状態。ここは何処なのか、自分はどうなったのかふわふわと移動して辺りを観察していると誰かが話しかけてきた。


「やぁ、この場所に人間の魂が来るとは珍しいね」

 頭と言っていいのかは分からないがもやを反転させて振り向くとアイドルとか俳優が霞むぐらい顔立ちの整ったイケメンがそこにいた。彼からは神々しいような波動を感じると同時に普通の人間ではないと思った。


「僕はイケメンかい。そういって貰えて嬉しいよ。君の言う通り僕は人間じゃないよ。この世界の管理をしている一番偉い神様さ」


『えっ、心の声が読まれている。それにこの人は神様だって言わなかった?噓でしょ』


「噓じゃないよ。神様だから心なんて簡単に読めちゃうよ。それとここは僕が世界を見守る空間だよ。普通なら君の様な死んだ魂は綺麗さっぱり記憶を消してから輪廻転生システムによって再び自分の世界で生まれ変わるんだけど。君はシステムから外れてこちらに来てしまったみたいだ」


 どうやら俺はイレギュラーみたいだったのでこれからどうなるのか聞いてみることにした。


『俺はこれからどうなりますか?地球に戻ることは出来ますか?』


 神様は腕を組んでう~んと唸っている。


「君はもう地球には戻れないな。一度システムから外れた魂は別の世界に転生してあげる以外に方法は無いんだ。だから、選択肢は二つあるんだけど好きな方を選んでね。一つ目は記憶を全て消して別の世界に転生。二つ目は記憶を持ったまま別の世界に転生。システムの不具合はこちら側の責任だし。転生するとき特典を用意するけどどっちがいい?」


『記憶を消してしまうなんて怖いし、ここは記憶在り一択だな。神様記憶在りの方でお願いします』


「OK。次は転生する先を選ぼうか」


『例えばどんな世界があるんですか?」


「ちょっと待ってね。解りやすいように画面に出すから」

 神様が空中でポチポチと何かをタッチする仕草をしたと思うと空中に画面が現れた。


「まず、最初はね。宇宙で戦争している世界」

 画面には宇宙戦艦ヤ○トと似たような戦艦が宇宙空間を飛び交ってビームをバンバン打ち合って戦っていた。


「この世界はね。地球の様な人類の住む惑星が沢山あってバージスト銀河大帝国という軍事国家があるんだけど、国を全て滅ぼして星を制圧したのに満足せずに他の星にも戦いを挑んだことで今もなお戦線が拡大中なんだよ」


『なんていうヤバい世界なんだ。こんな世界に転生したところですぐに死んでしまうのが落ちだろう』


 流石にこの世界を選ぶつもりはないので神様は次々と画面に転生先を映し出す。


「この世界は大陸が一切なくて魚類が進化して文明を築いた世界。これが恐竜の様な巨大生物が滅びることなく白亜紀が続いている世界とか……」


 神様は色々な提案をしてくれるが転生したいと思える星が見つからないので王道の剣と魔法の世界が無いか聞いてみる。


『魔物がいて魔法が使える世界とかありませんか?』


「えっとね…。魔物が居て魔法が使える世界はあるみたい。地球で言う所の中世ヨーロッパぐらいの世界だね。ここにする?」

 モニターに映し出された映像にはドラゴンが空を飛び、ゴブリンが森を彷徨い、人が魔法を放っていた。


『ここにします』


 これで転生先の世界が決まった。


「よし、最後は新しい体とスキルだ」

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