おっさんだった俺が美少女になって高校生からやり直してみたら人生クッソチョロかった~あの時イジめてきた奴がお近づきになりたいらしいけど気持ち悪いから消えなさい~
012.女子高生(おっさん)のBADEND④『虹』
012.女子高生(おっさん)のBADEND④『虹』
──『──っ!!! おじさんっっっ!!! おじさんっ!!!聞こえてるんですねっ!!?』
うん、久しぶり阿修凪ちゃん。
──『………………っ、もうっ!! あなたはっ……!! どれだけっ!! 私にっ!! ……心配をかけるんですかっ!!!』
あれ、なにそのツンデレ感。
てっきり感激のあまり泣いてくれるかと思ったのに……2022年にツンデレは受けなくなってきてるから今すぐキャラ変した方がいいよ。
──『違いますよっ!! いま歌ってる最中だから我慢してるんですっ!! 泣きたいんですよ私だって!』
そっか、これは心で会話する念波みたいなもんだった──って、もしかしてそっちもライブの最中?
──『はいっ、みんながサイリウムで虹の道を創ってくれて……そしたらなんかおじさんに語りかけられる気がして……』
……虹が架け橋になって不思議パワーで繋ったわけだ。
音楽は国境どころか次元をも越えてくれるもんなんだなぁ──みんなが繋いでくれた奇跡。
本当に、この齢になって、阿修凪になって……人との繋がりはかけがえないものだって気付かされたよ。
──『そうですね………って!! まったりしてる場合じゃないんですよおじさんっ!! おじさんの未来が大変な事になるって……!!』
大丈夫、何か知らないけど
──『えっ?? どうして………』
さぁ? なんか最終回だからご都合主義で全て解決に迎えてるとかそんなんじゃない? 打ち切り漫画みたいに。
──『そんな適当な……』
──{こんな時にでも変わらんのぅお主は………全て理由と理屈あってのことじゃよ}
あ、久しぶりダメ神様。
相変わらずポンコツぶり発揮してるね。
──{17年ぶりの邂逅の第一声がそれか! お主が世界を救える存在じゃなければとっくに消しておるぞ!}
でも世界を救える存在だから消せないんだよね?
たらればの喩えなんかこの状況で意味を成さないよ。
ていうか奥さんの方は異世界に行って仕事してきたけど、ダメ神キヨちゃんなんもしてなくね?
ポンコツぶりだけは一貫してるね。
──{……ぐっ……本当に貴様というやつは……もぅ説明してやらんっ!}
まぁまぁ落ち着いて、一連の最終回を迎えるんだから色々と腑に落ちない点があると気持ち悪いから教えてよ──ていうか、こんなにダベってるのに現実世界の時間が全然進んでない気がするけど……これって漫画やアニメであるあるのご都合主義のやつ?
──{違うわ。わしが介入できた事によりこの精神世界を一時的に疑似ニライカナイ状態に変換することで時間を遅らせておるんじゃ。どうじゃ?役に立っておるじゃろう?}
ドヤるのはいいからはよ説明して。
──{………【娚人(なんちゅ)】は元々【何人(なんびと)】という言葉から産まれた存在……男女のみならず『老若男女』の自分を創る………お主達も見たじゃろう?キヨが様々な存在になっておったのを}
うん。
──{つまりどんな自分にもなる事が可能……
な、なんだってー!?
──『……本当はそんなに驚いてないですよねおじさん……で、でも全ての記憶って……そんなに記憶があったら脳が破壊されるって以前仰ってましたよね?!』
──{【娚人】の能力の一つ【自浄作用】。その本質は風呂に入らんでもよくなるなんてケチなもんじゃない──
おお……続々と伏線が………いや、伏線じゃなくてもはや後付けレベルだけど。
──{茶々をいれんと会話が出来んのかお主は……とにかく──全ての命運は今ここに収束された。さぁ! 波澄阿修羅! チカラを使い、縛られた運命を解き放つのじゃ!}
…………え? やり方は? How to use?
──{………いや、そんなもん知らんし。神に等しき存在になったのじゃから……なんか新たに覚醒めいた力とかあるじゃろ?}
そこは伏線回収とか後付け設定めいたものとかないんかい!! こっちが聞きたいわ!! 記憶が戻れば世界救えるってお前が言ってたんじゃろがい!!
──{やり方までは知らんわ!! そこは最終局面なんじゃから『分かってる、後は俺に任せろ』とか言ってカッコ良く決めるところじゃろうが!!}
いつからおっさんがそんな熱血系主人公と錯覚していた??! 残念、中身は卑屈な中年だから何も考えてません~!!
──『お……お二人とも落ち着いて……』
──{とにかくここまでお膳立てしてやったんじゃから何とかせんか!! こんな中年と一緒の部屋にいられるか! わしぁ部屋に戻るぞ! じゃあのっ!!}
……俗物系ダメ神はそう言って通信をきった。
相変わらずの無茶ぶりだし………最後の最後まで安定のぐだくだ感。
まぁこんなぐだくだっぷりもおっさんに相応しいっちゃあ相応しいけど。
あとはぐだくだにしちゃいけないところだけをきっちり引き締めて……終わらせよう。
──『お……おじさん……』
不安そうにしなさんな、たぶんだけど何とかなるよ多分おそらく。
──『………はい、わかってます。おじさんなら何とかしてくれるって信じてますから………でも、私が言いたいのはそうじゃなくて……』
それも、ちゃんとわかってる。
絶対に、また、会えるよ──いや、会いにいく。
【夢世界旅】のチカラだってあるし、なんたって神様みたいな存在になってるんだからきっとまたそっちにだっていけるから。
──『──っ……絶対、ですよっ………!!』
もちろん。
きっとまた会える。
だから、大袈裟なお別れはしないよ。
──『…………………………』
ほら、もう曲も終わりだ。
だから、また会える約束のその時まで──
──『 』
曲は終わりを迎え、音色は静かに……優しく響いて、最後の歌詞を皆に届かせた。
これは彼女に。
彼女を想い、紡いだ詞。
二人の声は、違う時代、違う世界を越えて──再び一つになった。
『一輪の花は奇跡の下に咲き乱れ、あなたに終わらない未来を捧げよう』
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