おっさんだった俺が美少女になって高校生からやり直してみたら人生クッソチョロかった~あの時イジめてきた奴がお近づきになりたいらしいけど気持ち悪いから消えなさい~
#003.女子高生(おっさん)のいるクラスと不思議な力
#003.女子高生(おっさん)のいるクラスと不思議な力
学校に到着し、クラスの戸を開くと室内から一斉に声がかかった。
「あーっ!!アシュナ久しぶりぃ~!!さみしかったよぉーっ!!」
陽キャ、陰キャ、女子男子一同──性別もカーストも問わずに皆は狂ったように周囲に集まってきた。その中でも『ハーレムオブアシュナ』と呼称されているメンバーの筆頭の一人でもある朝比奈陽奈(通称ヒナヒナ)は顕著だ。
(男だった時は教室に入ってきた事すら気づかれなかったのに美少女になったとたんにこれだ……あれ?でも昔も仲良かったような……)
あり得もしない記憶が脳を過(よぎ)る。
この身体に生まれ変わってから……存在しないはずのデジャヴュのようなものが頻繁に巻き起こる。あるいはその逆のジャメヴュか──初めてなのに前にもいたような、前にもいたのに初めてのような感覚がいつも心の片隅に引っ掛かっていた。
(学生時代にこんなに充実してたことなんて一度もないはずなのに……どうして感じるんだろうか……)
これまでどんな立ち振る舞いをしても、皆が気を使って優しくしてくれて受け入れてくれて俺は勝手にスクールカーストの頂点にいた。あまりにもイージーすぎる人生……もはや見えないナニカが作用して難易度を下げてくれているとしか思えない。
「アシュナ殿っ!! このクエストなのでござるが……」
「あー、ここの敵エグいよね。このキャラ使うといいよ」
だが、オタク趣味嗜好は相変わらずなので男女関わらず陰キャと呼ばれている奴らとも仲良しだ。
そんなわけで男子からは『姫』扱いされている。
「お……王子っ! 本日のお時間……良ければ私に頂けませんかっ?!」
「え、うん。わかった、いいよ」
意を決したように顔を紅くして近づいて女の子は、了承すると嬉しそうにしながらその場を後にした──そう、女子から俺は『王子』扱いされている。
男子から『姫』、女子から『王子』……共学でありながらそんな扱いを受けている人間は世界広しとも俺だけだろう。
「アシュナ殿……今の女子(おなご)は……」
「あ、うん。最近知り合った別クラスの女の子。恥ずかしがり屋の可愛い娘だよ」
スマホを取り出し、アプリを開く。
女子に必須の生理周期などを記録するやつだ……まさか推し声優の予定日を把握する以外の目的でおっさんが愛用することになるとは思わなかった。
「一応今週だけど……大丈夫かな」
「何がでござるか?」
「ん? さっきの娘とえっちなことするから生理予定を確認しただけだよ」
一瞬どよめくクラス内──しかし、すぐに落ち着きを取り戻した。
大胆発言を大声でしたのには理由がある……おっさんには不可思議な能力がいくつか備わっているからなのである。
【世界が俺の気分により変化する】というのがその一つ──戯言に聞こえるかもしれないがマジなのだ。
「そうなのでござるか~、確認は大事でござるからな」
「うん」
あまり根掘り葉掘り聞かれたくない気分であれば、皆はどんな発言でもスルーしてくれる。
逆に承認欲求を満たしたい気分であれば、皆は発言に食いついてくる。
それにより、俺はありのままのおっさん生活を満喫できていた。
この能力が何であるのか──偶然か、はたまた美少女ゆえの特権なのかは未だに解明されていない。
「さ、そんな事より……久しぶりに百合の時間に勤しむとしますか」
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