第10話 女子高生(おっさん)といる生徒会長②


「お話がありますわ、波澄アシュナさん」


 その日の放課後、生徒会長【めらぎ】に生徒会室に呼び出された。今朝の件だろう。

 生徒会室には俺と生徒会長しかおらず、蒸した室内に部活動に励む生徒の声とセミの鳴き声が静かに響く。

 

 とりあえず俺は謝罪した。

 

「あ……あの……今朝はすみませんでした……」

「…………」


 めらぎは明らかに不機嫌そうだ。

 腕組みをして眼を瞑(つむ)り、一言も発しない。静かな室内に二人、気まずい。


「…………あ、朝は……庇ってくれて……その、ありがとう」


 突然、紅くなっためらぎは手持ちぶさたに髪を指で弄(いじ)りながら、わけのわからない事を言った。

 俺が庇ったってなんの話だろう、と思考を巡らせているうちにめらぎは続けて言った。


「ですが……貴女の隙だらけの所作には物申さざるを得ませんわ。制服をそんな淫らに開いて……汚らしい野獣(おとこ)どもに視姦されたりしたらどうしますの?」

「…………え?」

「ですから! 貴女は危険すぎるのですわ! 美しすぎるその柔肌を無防備に晒して……見せるのはわたくしだけにして下さいまし! 野獣(おとこ)どもには一切近寄らないでわたくしだけを見て下さいませ、お慕い申し上げていると言っているのですわ!」


 真っ赤になりながら、めらぎは俺に抱きついてきた。

 なるほど、百合展開というやつか。………え?

 

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