薄暗がり

見られることの理不尽さに怯えた

見ることの罪悪に苦しんだ

視線はすなわち鋭い刃だった

あの人も、あの人も、すれ違うこの人も、みなあの刃物を忍ばせている

いつでも集団の敵を刺し殺せるように


愛されることの不確かさを憎んだ

愛することの報われなさを嘆いた

心はいつも揺れ動いていた

どんな人にも好きなことや人がいる、その尊さに目眩がした

どこまで愛せば合格なんだろう


生きることの途方もなさに立ち止まった

生きることの明るさにうずくまった

僕はもう歩けない


分からなかった

何を拠り所にすればいいのか


光をいつか、見つけることができるだろうか

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