男子高校生
「君の心は永久に君だけのもので、誰かには、それに触れ得たと勘違いさせておけばいい。」
そういう人こそ、こちらの心を土足で暴こうとしているという構造に名前がついているのかもしれなかった。
だから僕たちは心についてわざわざ言及する人間を、たとえ同級生であろうと信用していなくて、それよりもうまい唐揚げが食べられる店をよく知っている人間を愛していた。
そうやって教室は、世界は丸く閉じていく。
空が青いことよりも、いかにニキビを駆逐するかが重要で、野花が揺れることよりも、女の子のスカートの丈が主たる興味関心のふりして、ほんとうはプールの燦めきとか、渡り廊下に落ちる木漏れ日の濃さとかに気がついているのに、知らないふりをする。
誰かと手の先が触れ合うたび、胸が数ミリ、締め付けられるんです。
お願いだから、この気持ちに名前なんてつけないで。
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