第5話
公園には一つ、ゴミ箱がある。いつもぽつんとしているが、今日は側に人がいた。自分たちと同じくらいの男の子だった。
「誰?」
「迷子?」
少子高齢化の影響か、タイチたちが通っている小学校には一クラスしかない。そのせいでクラス内に誰が何処に住んでいるのかという情報は互いに知りつくしているため、よそから来た人はすぐにわかってしまう。
「・・・転校生じゃない?」
「あー。かもしれない」
四人でちらちらと同年代っぽい子を見ながら、小声で話す。今思えば、失礼なことをしていた気もするが、見知らぬ彼はじっとゴミ箱の側に立っていた。
転校生だ! と四人の意見が一致した所でワタルが突撃しに行った。
「なぁ! 転校生!?」
いきなりすぎる。
「急すぎる」
「困ってんじゃん。ねぇ?」
女子たちから非難の声が上がる。
ワタルの突撃を受けて一瞬、固まった見知らぬ彼はすぐに打ち解けたようでホッとした表情を浮かべていた。
「ヤイチだってさ!」
「だから急すぎんだっての」
サワが呟いた言葉は届くことは無かった。ゴミを捨ててタイチたちも自己紹介を済ませる。
彼はどうやら最近、引っ越してきたらしく道を覚えている最中であった。
「どっから来たの?」
「えっと…南の、方です」
「敬語じゃなくてもいいよ〜」
さすが女子たち。スムーズに情報を聞き出している。
「えっと、おれ色んな所に行ってるから…」
「あーテンキンゾクかぁ」
それが彼、セオヤイチとの出会いであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます