第4話
ラジオ体操は事無く終わり公園から一人、二人と出て行き、タイチら三人だけで話しているとナナが走ってきた。
「ごめん~! これママからみんなにって」
ナナが手に持っていたのはジップ付きの袋。中には割り箸が刺さったパイナップルが四本入っていた。「ママがねー最近フルーツ冷凍するのハマってるんだぁ」と次第に日差しが強くなる中、四人で冷凍パイナップルを囓りながら日陰に移動する。
公園に生えているいちばん大きな木の下にはベンチが一つと鉄棒が置かれている。タイチとナナはベンチに座り、ワタルとサワは鉄棒の柱に寄りかかった。それがいつものポジションであった。
「なーこれ酸っぱくねぇ? タイチのは?」
「僕のはそんなに酸っぱくないけど・・・パイナップルは酸っぱいもんじゃない?」
「え~パイナップルは『甘酸っぱい」じゃないの。ねぇ? ナナ」
「うーん。わたしは好きだけどなぁ」
一番早く食べ終わるのはいつもワタルだ。割り箸を吸いながら鉄棒で遊んでいる。
日陰にいてもじっとりと汗ばむ時間帯になってきたので、そろそろ解散しようという流れになった。帰る前にナナが裸になった割り箸を袋に回収して公園のゴミ箱に捨てに行く、と言うのでみんなでついて行く。
宿題はどこまで進んだのか。課題図書が貸し出し中だった。頭頂部を焼く太陽に脳みそまで焼かれている気分になる。タイチの脳内では、いつかテレビで見た炭火で焼かれる焼き鳥の映像が再生されていた。
「あ、」と会話を終わらせたのはワタルだった。
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