#02 ラーニャのロックン・ロール・パーティー

 翌日。コルトパイソンを自作したホルスターに入れて腰に装備した後、近くの河原に向かうと対岸に的があるように集中しながら狙いを定めて、素早く引き抜き撃鉄を左手で素早く引き起こしながら6発連続で早撃ちを決めた。

 銃口から白い煙が出る中、クルクル回しながら空薬莢を排莢してホルスターに収めた。

「ま、こんな感じか」

 そこに幼馴染の兎人族であるラーニャが、モフモフの耳を両手で畳みながらやって来た。おそらく、発砲音に驚いたらしい。

「ガナード?今の音はなぁに?」

「ん?護身用の魔道具拳銃だよ」

「けん、じゅう?」

「そうだよ、まぁ・・・ゴブリンの大軍でも来ない限りは無事だよ」

 フラグを立ててしまったという事を僕は考えていなかった、2時間後にゴブリンの大軍を見るまでは・・・。

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 2時間後、河原でコルトパイソンによる模擬弾による射撃訓練を終えて戻る途中、母と父が慌てた様子で走って来て「ガナード、ラーニャがゴブリンに連れ去られた!母さんたちはギルドに依頼してくるから家で待って居なさい!」といってギルドがある村の中心へ走って行った。

「ラーニャが・・・ゴブリンに――?」

 その瞬間、ガナード・メルアの中で正義という鎖が真っ赤に燃え始めた。気が付けば、ゴブリンが生息しているゴザリアの森に向かって走っていた。泥まみれになりながらも走り続けて森に入ると同時にラーニャの悲鳴が聞えて来た。

「――嫌あぁぁっぁぁぁ!」

 コルトパイソンをホルスターから取り出して、実弾を素早く装填するとゴブリン共の影が見える距離まで匍匐ほふくで近づき、狙いを定めて脚を撃った。

 1発撃つごとに撃鉄を引き起こして次の弾薬にシリンダー事回転して交換する様がスローモーションのようにゆっくりと動いていた。引鉄トリガーの金属質な重さが指に当たる感触が冷たさよりも暖かさに変わったその時、6発の弾丸を撃ち切った。

「リローディング!」

 素早く空薬莢を排莢させて、次弾を装填し終えると立ちあがって「俺の幼馴染に何しやがる!」と言いつつ撃鉄を左手で素早く引き起こしながら6発連続で早撃ちを決めた。

 当然、頭を狙えるほどの腕力が無くゴブリンの足首や手首に弾丸が逸れて当たって行った。

 その時、ゴブリンの1匹越しに手首をつるで縛られたラーニャが見えた。

「ラーニャ!」

「あ、え?・・・ガナード?」

「暴れる準備は、出来ているか?」

 ガナードの問いかけに答えるかのように縛っていた蔓を腕力だけで解き放ち、「うん、準備は良いよ。ガナード君!」と近くでボロボロの剣を持っていたゴブリンの頭部で近くに転がっていた中石でかち割った。

「俺の訓練を毎日見ているなら、使い方は分かっているよな?」

 コルトパイソンの短銃身仕様ショートバレルモデルが収まった状態のホルスター事投げ渡してそれを受け取ったラーニャは、コルトパイソンを引き抜き、撃鉄を左親指で素早く引き起こしながら二発同時射撃ダブル・タップを決めた。

「かい・・・かん・・・‼」

 どうやらトリガーハッピーになってしまったらしい、それと同時に近寄って来るゴブリン共にヘッドショットを4回決めるという荒業まで開花させた。

 ガナードがラーニャのそばまで行き、背中を合わせて全周囲警戒に入った時ギルド所属の冒険者と両親がくさむらから姿を現した。

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異世界で軍隊を創設したら、戦場になりました @12{アイニ} @savior1of2hero

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