序文

 見る者が畏れるほど、目映まばゆい光を放つような人物。

 存在感、美貌、誰の目にも明らかな才能。

 それらは時に圧倒的な求心力を持ち、人々を魅了し、翻弄ほんろうする。


 才能に出会い、自分は凡人だと絶望するのは辛い。

 だが、比べようもない力の差がある時、競り合わなくていい相手なのだと、安心感を得る自分もいる。


 自分は無力だと思い込みたいなら、抗わず流される方が楽だ。

 でも、弱くても使える力があるのなら、無力ではないから。


 彼らほど凄いものを生み出さなくていい。

 彼らほど注目も、評価も、批判もされない。

 誰の目も気にせず、自由にやればいい。

 魅了され、翻弄されるのが怖ければ、目を伏せて離れればいい。


 魅入られて、手遅れになる前に――

 畏れが自分を守ってくれる内に――


 彼らから近付いてくることがない限りは――

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