第十話 「Hokkamuri」
「Ага ... Теми и
другие ....
(そうか...テメェらが....っ)」
「・・・・!」
「ダンッ!!」
「"!"」
「ひ、ひぃぃっ!?」
「Ну, Темера это
"Ничиаса" ....!
(そうか~ テメぇらが
"ニチアサ"の....!)」
「――――、!」
男は隆和の顔を一瞥(いちべつ)すると、
ウォッカのボトルを呷(あお)りながら
再び自分の席へと戻る
"ドスッ"
「Ви
(ウィ~ッ)」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
"グビ"
「Ах??
(ッはぁ~~??)」
"ドンッ!
「・・・・」
「で、デスク」
「・・・・」
「Ааааа ??
(はぁぁああ~??)」
"グビ"
「Хухххххх
(ハァぁあああ~っ)」
"ドンッ!
「ひ、ひぃ」
自分の席に着くと男は何をする訳でも無く
ただ目の前のウォッカのボトルを
ひたすら呷り続ける....
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「Фуууууу
(ふぅぅううう~っ)」
「(・・・・・)」
「で、デスク」
「(・・・・)」
"何なんだコイツは"
おそらく、今目の前にいるこの男が
この藻須区輪亜部新聞社の
一番上の役職、支局長なのだろう。
「Ву ...
(ウぃ~っ....)」
"ドンッ!
「・・・・!」
「Япошка!? "Япошка" !! ??
(ジャップッ!? "ジャップ"!!??)」
"ダンッ! ダンッ!! ダンッ!!!
「・・・・!」
「Тройник!? Это!?
Te, Temee! ??
(てめぇっ!? このっ!?
テ、テメェッ!?)」
「(・・・・)」
だが今目の前にいるこの男は、
「Ненавижу
япошку !!
(―――俺はジャップは
嫌れえなんだっ!!)」
"ダンッ!! ダンッ!!"
「(コイツは――――....!)」
「Чикушо! Чикушо !!?
(ちくしょうっ! ちくしょうっ!!?)」
"ダンッ! ダンッ!!
「ひ、ひいっ!」
まるで、何か、叩けば空から福音(ふくいん)が
訪れると思っているのか
狂った様に自分の目の前の机を叩き続けている
「で、デスク、この人....」
「Ву??
(ウぃ~~~~っ??)」
"ガタッ"
「・・・・!」
「Так всегда бывает с
Япошкой...
(てめえら、"ジャップ"てのは
いつもそうだ・・・・)」
"カッ カッ カッ カッ....
「ひ、ひいっ」
男が椅子から立ち上がり、再び
隆和たちの元まで酒のボトルを片手に近寄ってくる
「СОЛНЕЧНО,
МИТУБАСИ, Онда
(SUNNY...MITUBASHI...
ONDA...)」
「な、何なんすか」
「に、日本の会社の事か?」
"グビ"
「Ну, Япончик на первый
взгляд притворяется
вежливым, но когда
дело доходит до этого,
он забирает работу
этой страны ...
(てめぇら、ジャップってのは
一見礼儀正しい振りをしやがるが
いざってえなると、この国の仕事を
奪っていきやがる...)」
"グビ"
「な、何て言ってるんだ?」
「Вау ~
(うぃ~)」
"カッ カッ カッ カッ....
訳の分からない言葉を呟きながら、酒を片手に
男が隆和たちの元まで近づいてくるが
この男が何を話しているかがまるで分からない
「НАЮТА, ФАНАСОНИК, И
русскояпонская
война тоже,
(NAYUTA...FANASONIC...
それに、日露戦争の事もそうだ...)」
「・・・?」
目の前まで迫って来た男に
戸惑った様子を隆和が見せていると、
脇にいる林が男の言葉を通訳しだす
「え、エモイつぁん...」
「・・・・」
「ウィ~~~...」
「ど、どやら、へんしゅちょう、
いえ、支局長ですか。
支局長は、あなたの国、
日本の会社、そして
あなたと、ロシアの戦争について
おこてるみたいヨ....」
「か、会社ってSUNNYとか
FANASONICの事か?」
「・・・・!」
「Правильно! Правильно!?
(そうだっ! その通りだっ!?)」
「・・・・!」
"ガッ!
「ッ・・・・!」
スサケフスキが、隆和の両肩を掴む!
「な、何を――っ....」
「・・・・」
スサケフスキはそのまま目を大きく見開き
隆和の顔を真っすぐに睨みつける
「Теме и др, Японец,
которого в этой
стране называли
хозяйственным
животным, пожирали
телевидение страны ...
и автомобильную
продукцию, и даже
ударили по стране
в русскояпонской
войне ...!
(テメェら、ジャップは、この国で
エコノミックアニマルと呼ばれ、
この国のテレビ...そして
自動車製品を食い荒らし、さらには
日露戦争においてはこの国に
大打撃を与えやがった...!)」
「・・・・!」
隆和が肩を掴まれたまま脇にいる林を見る
「エモイつぁん...
支局長、日本のかいしゃ、
テレビとか自動車ゆにゅうすること
それと、ニポンと、ロスィアの
戦争のコトおこてるみたい」
"ガッ!"
男がさらに手に力を込める!
「... Что?
Ты понимаешь...?
Как я себя чувствую
сейчас ...?
Телевизоры и
автомобили Оми,
возможно, были
отличными ...
(・・・なぁ~?
"分かる"か...?
今、俺がどんな気分だか...?
オメェらのテレビと自動車は確かに
優れてたかも知れねぇ...)」
「・・・支局長、テレビと自動車の事について
しゃべてる」
「Но изза того, что
телевидение и машины
настолько хороши, я
не могу заставить
Оми и других выглядеть
крупными в России ...!
(だがな、テレビと自動車が優れてるからって
それでオメェらをこのロシアで
デカい面させる訳にはいかんのだ...!)」
「(・・・・!)」
"いつの時代の話をしてるんだ"
「Это «Хоккамури»,
потому что это
положительное сальдо
торгового баланса, и
только моя страна
выглядит хорошо ...
(貿易黒字で、自分の国だけ
いい目見ようなんて
"Hokkamuri"なんだよ...)」
「―――ほ、ホッカムリ・・?」
「ソウドゥァ....」
「(に、日本語....!)」
「オマェルゥア、ニポジンハ、
テレビ、ジドウシャ....
シャザイシナキャイケネェ――ッ!」
「・・・・!」
突然、江戸弁の日本語で話し始めた
スサケフスキに隆和が大きく目を見開く
「(・・・・!)」
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