第4話



 肩をいからせながら、スサオは一枚の紙切れを差し出した。


「えーっと、なになに……『死にます。追わないで下さい』。うっひゃーこりゃあまた、深刻だねえ」


「帰ったらこれが部屋に置いてあった! そんな度胸ないくせに……どうせあんたらの部屋に転がり込んだに決まってる。あのアマ何考えてやがんだ!」


「これはそっちのセリフだよ!」


 立ち上がったカネミママが、興奮おさまらないスサオの頬をバシッと一発はたいた。


「テラちゃんみたいないい子が、そんな切羽詰まったことするわけ無いじゃない! どうせあんたが何か悪いことしたんでしょう?」


 ビンタとママの一括で、スサオの怒りがしゅうしゅうと抜けていく。一気に覇気が無くなった。


「……」


「スサオちゃん、何か言うことはないのー?」


「こら、正直に吐け。スサオ」


「『カネミママに嘘は言わない』。あなた達の同棲を認めた時の約束、忘れたの?」


「ちょっとだけ……」


「「「ちょっとだけ?」」」


「他の女と……」


「「「女と?」」」


「火遊びをして、それから……」


「「「それから?」」」


「バレて喧嘩になって、それから……」


「「からの?」」


「逆ギレしてテラの顔を引っぱたいた」


「「「このクズ野郎!!」」」


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