第5話



 3人の殺意の視線ににらまれ、スサオはしょげ返った。


「ママ、俺ほんとに反省してんだ。もう2度と女に手は出さねえ。だからテラに戻ってきて欲しいって伝えてくれないか」


「んなこと言われてもねぇ。あたしたち誰もテラの居場所、知らないんだよ。それどころかうちの店にも入れないくらい……」


 カネミママの口からタバコの煙か吹き出た。


「あぁ! 思い出した! うちの鍵、テラちゃんに渡したんだ!」


「えっ? じゃあテラが出勤して来ないと、お店開けられないってこと?」


 ウズメの言葉に反応したスサオが、店の方に注意を向けた。


「あれ! テラのだ!」


 スサオが指差しているのは、ウズメが肘をぶつけたピンクの自転車だった。


「ってことは、テラはお店の中にいるの?」


 トキが言い終わるよりも早く、スサオは店を飛び出していた。あわてて3人も後を追う。


「テラ! そこにいるんだろ? 開けてくれ……もう2度と素人の女には手を出さないから!」


「って、条件付けるなよ! まったく説得力ゼロだな。おい、テラ。取り敢えず話を聞いてやるから、鍵を開けな」


 基本、命令口調のトリ。


「あんた、そんな言い方じゃあ……」


 ガチャリ。


 意外にも店のドアが開いた。店の中は相変わらず暗闇だ。


「や、やけに素直ね。そうやってさっさと開ければいいのに……えっ?」


 白い手が延び、トリの腕をつかんだ。一気に店の中に引きずり込まれるトリ。そして扉は再び閉ざされた。


 一瞬の出来事だったので、残された者は誰も反応できず、棒立ちになっていた。


「キョェェェェ!」


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