第9話ヒグマとヒグマ

逃げ出したヒグマが次にやってきたのは、開けたエリアだった。

ヒグマが落ち着きを取り戻していくと、またもやあの声が聞こえた。

『全くダメダメだね・・・。人は一人倒しただけで、その後はトラに噛まれて、ラーテルに鼻をやられ、アリクイに顔を引っ掛かれ、あげくには撃たれてしまった。君って実はマヌケなの?』

ヒグマにはそんな罵倒は聞こえない、とにかく手負いの体を休める場所が欲しかった。

そしてヒグマが辺りを見回すと、なんと自分とよく似た仲間を見つけた。

「グフォ、グフォ・・・」

ここには自分のいる場所がないと思っていたヒグマだったが、自分と同じものがいることを知り、彼の心は安心した。

『おい!何を休んでいる!?早く人を襲うんだよ!!』

しかしヒグマはとにかく体を休めたかった。ヒグマはその場に身を置くのだった。






一方こちらは大島たち、逃がしたヒグマを追いかけている。

「あいつはただ者じゃない、確かにおれは心臓を狙ったはずなんだが、あいつは立ち上がって逃げ出していった・・・。」

北山はヒグマを仕留めきれなかったことに、少し落胆している。

「でも、君が撃ったおかげでオオアリクイは幸いにも助かった。君はいい仕事をするね。」

「ありがとうございます。」

そして大島たちはヒグマを見つけた、北山が忍び寄ろうとした時、大島が言った。

「あのヒグマは違う、おれたちが狙っているのより小さい。」

「確かに・・・、ということは元からいるヒグマですか?」

「ああ、だがこの辺りにいるのは間違いない。」

そして大島の言うとおり、そのヒグマのすぐ近くに、ターゲットの巨大なヒグマが現れたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る