第6話ヒクマとラーテル

何とか命からがら逃げきったヒグマは、再びあの声を聞いた。

『何してんだよ、お前は人を襲っていればいいんだよ!!』

何で人を襲うことばかり言うのか・・・、ヒグマには理解できなかった。

とにかくあの辺りには近づかないこと、ヒグマはそう決めた。

そしてウロウロ歩いていると、檻が並んでいるところを見つけた。

ヒグマの鼻が食べ物の匂いを感じた、そして檻の向こうに小さく刻まれた、肉とリンゴとバナナを見つけた。

食べたくなったヒグマは檻を壊そうとすると、タヌキかキツネくらいの大きさの白黒の動物が二頭、キバを向けて威嚇してきた。

自分より小さいのに、こいつはどうして立ち向かって来るんだ・・・?

こんなやつは今まで見た事が無い。

ヒグマはなおも檻を壊そうとするが、二頭は手に噛みつこうとしてくる。

それでもヒグマが手を動かしていると、そのうちの一頭がこちらに尻を向けてきた。

そして尻からこれまでにない程の、激しく臭いがヒグマの鼻を襲った!

「グォォ――――ッ!グフォ、グフォ、グフォ!!」

ヒグマは臭いのあまりに、その大きな体でのたうち回った。

そしてその場からヒグマは逃げ出した。




ヒグマはその動物がラーテルであることを知る事はなかった。



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