第3話 ロクでなしはロクでなしなりの努力をする

「このロクでなしめ!お前は我が家の恥だ!」

あの言葉が頭から離れない。昔の出来事だった。奉迫家は、世界を代表するエリート株式会社だ。その跡取りとして俺が生まれた。親は

「お前は常に一番になれ。一番以外は認めない。」

という絵に書いたようなものだった。そして俺は”一番”であるために、ひたすら努力をした。周りからは天才と呼ばれていたが実際は秀才だ。努力して一番を手に入れたのだ。だがその努力は一瞬で砕け散った。テストで学年二位を取ってしまったのだ。普通なら

「二位でもすごいじゃん!」

と褒められるがうちの親はそうはならなかった。

「何だこの点数!5教科合計485点?!ふざけているのか!」

と父親には怒鳴られ蹴られ。母からは

「あなたの努力が足りないから”一番”じゃなかったのよ?まだ弟のほうが優秀ね。」

弟は努力をせずに俺よりいい成績が取れていた。いわゆる天才だったのだ。一度俺は「もしかしたら努力をしているんじゃ?」

と考え自分で調べたが勉強も運動もしていなかった。なのに弟は俺よりいい成績を残していた。その時俺は絶望した。自分の努力は何だったのかと。

『俺なりに努力をした』

『俺なりに・・・』

『俺なり・・・』

俺なりの努力では報われないのか?俺なりじゃだめなのか?何も努力をしていないやつより『俺なりに努力をした』という方が偉いだろ。そう思ったときには行動をしていた。父と母を殴りつけ、父にまたがり顔を殴っていた。その時だ

「このロクでなしめ!お前は我が家の恥だ!」

といい自分の荷物を外に出され、追い出されてしまった。それが去年。高校3年の2学期期末テストのときだったのだ。

そして今、高校の時から中の良かった富谷と一緒に実家から遠くの大学に進んだのだ。初め、先生には反対された。

「お前ならもっと頭のいい大学に入れるはずだ!」

と、だが俺は

「人生を生き、その後を決めるのは俺です。他の誰でもない、自分の人生、自分の命だから後悔のない選択をしたいんです。」

と言うと先生も

「わかった。お前のことを尊重するよ。」

といい応援され、今に至る。

「あのときはお前怖かったんだぜ?どんな顔してたかって言うとな〜?親の仇を見つけたみたいな顔だったぞ!」

富谷が話してくる。やはりお前は雰囲気をぶち壊してくる。

「あっははは!そんな事があったんだ!いや〜、でも本当にあるんだねぇ、我が家の恥だ!みたいなこと言う人って。」

先輩も何故か笑っていた。笑うとこあった?

「まあ俺は今が楽しいんで追い出してくれた親に感謝ですけどね。」

そして俺たちは色々話した後家に帰ったのであった。

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