第33話
「いや嘘では無いでしょうが、決して本当のことも言ってない。
一体、クリストファー王子様は何を隠してるんですか?
そういう言い方で、コドモの頃から大人達がよく俺に接しましたから、俺は経験則で見破れるんです。
ああ今、”立ち入られたくない部分”
『言いたくない核心』に俺は踏み込んだんだなぁ〜と面倒なので、知ってて知らない演技をしてきましたが、しかし現在は状況が違います。
俺は貴方に、滅多に外部には話さない重大な個人情報をあえてお伝えしました。
俺を甘く見ないで下さい。」
信繁は言葉こそ強いものの、フフンとニヤニヤしながら茶目っ気たっぷりに、茶色がかった目を綻ばせた。
キラキラ光を反射する。
クリストファーは、ふ〜〜〜思わず溜息をついた。
『結構鋭いぞこの人ーー……!』
「そうですね、卑怯な言い方で済みませんでした」
クリストファーは信繁に謝罪後、小さな声で信繁に事件経緯を話し始めた。
「私には大親友がいます
今回の襲撃のリーダーの男、ウィンストンです」
「え??」
信繁は思わず息をのんだ。
「では大親友が、つまり『襲撃実行犯リーダー』だったって事か?
ウィンストンーーー
本当に顔見知りのソイツ、君の命を奪おうとした犯人は大親友君だったのか?
どういう事だ?
見間違いや変装、今時美容整形手術とか当たり前だろ?
大昔とは違うんだ。
『フェイク』本当は別人、ボディダブルじゃないのか??」
「ウィンストンは私の、元同級生です。
本当にコドモの頃からの幼なじみなんです。
癖や声、仕草
確かに、ボデイアーマーのバトルスーツで全身武装していましたが、この僕が見間違いするだなんてありえません。
彼は現Dー01宰相の子息ーーー嫡男です」
「オイオイ嘘だろ ホントかよ、だったら『君の親友君』の父親はあの〜
地球、イヤ銀河連邦でも超有名な超伊達男だろ?
マスメディア『電脳ジャーナル』芸能グラビアで常連じゃないか!」
「はいそうです」
「彼の妻は、銀河連邦ミスインターナショナル元クイーン、某惑星国の姫君
で、彼自身現コロニー最大派閥の党首、本人データは確かそうだったろ?」
「ええ、ウィンストンの父親はその通りです」
「明るく社交的で清廉潔白、スポーツ万能、で特に馬術が得意らしいな?
銀河連邦オリンピアン、オリンピックゴールドメダリストだろ?
〜家族を大切にする子煩悩だという有名政治家。
何でそんな極めて恵まれた上流家庭の子息が何とち狂って、将来を約束された嫡子がそんな事をするんだ?」
「ーーーーー」
「まぁーーー過激派の実家が、人もうらやむ教育も財力も恵まれた家庭という現象は案外ちょくちょくあることだけどな。
あれ、ちょっとまてよ?
確かデーターによると、歴代宰相を輩出しているという名門大派閥の政治家んちだろ?
ーーーあの御仁
その”嫡子”が?
まんまそれって『クーデター』じゃないか!!」
うわぁ~と背を反らした信繁は腕組みをし、椅子をギシーーーッと鳴らした。
「これは発覚したらスキャンダルどころか、国家転覆のとんでもない動乱になるだろうな」
「そうです
ただ、彼のことだから何かきっと今回のことは深い訳があると思います」
「どうしてそう思う?
親友のふりして裏切った、ただの恩知らずで馬鹿の人殺しだろ?」
「彼は、ウィンストンは元々こんな〜
大勢人を傷つける大それた事をする、悪辣な事をする男ではありません!
僕はウィンストンを信じています!」
「ーーーーー〜〜〜…」
『〜〜そんな事言ったってなぁ……』
信繁は心の中で呟く
信繁は説明を口に出して言わなかったが、実は樹海にて彼に会う直前、スクランブル発進した制空権保持の空挺部隊と連携を取りながら出動していたのだ
『城』特殊部隊
信繁はその中でも際立つ精鋭班班長として少数凄腕班員を率いている
撃墜された『宇宙巡洋艦』、墜落現場に赴いていた
信繁は小班の班長であると同時に優秀な回転翼機のパイロット、余り無い事だが、ヘリ操縦者をも兼ねる
それもただの操縦者、一般的なヘリパイ『機長』では無い
とある特殊航空機
『実験機』と呼ばれている、この世でただ1機しかない特別ヘリの主席テストパイロットに選出され任に付いている
当然信繁は〜今回も『実験機』を駆り、仲間の班員達と共に現場に急行した
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