第30話
『多分”信繁”だ!』
間違いないだろう
丸い配列、冥土の渡し船の船頭に渡す船賃
硬貨”
忍者”くさのもの”で有名な真田家
ネームの信繁は戦国最強の武将「真田幸村」の本名
”
”村”は徳川を祟ると言われる妖刀”
『絶対そうーーーー!!』
自身の密やかなる発見に思わず手がブルブル震えた
「ブラックダイヤモンド、あの女性の方の黒い瞳みたいですね」
「〜…はーー凄いなあ~
ぱっと見て直ぐに判るあたりサッスガ高貴な王子様!
”ジェット”か?ーーーと言われたことはある」
「”ヴィクトリアン・モーニングジュエリー”哀悼の喪服用装飾アクセサリーですか?」
「えぇまぁーーー
だから似て異なるものだと言っておきました
ジェット、”古代の木の化石”に対してコッチは”灰の圧縮の果ての化石”みたいなものですからね
無色の普通のダイヤモンドが単結晶っていう事に対して、これは”カーボナード”で多結晶、六方八面体です
産地を言えば地球アフリカ産、多結晶だから粘り強くて固い
ぶつけたとしても割れにくいそうです
ーーー父の話では
一応ダイヤですから絶縁体、電気を通さず安全ですし熱伝導に優れていて冷たくなくっていいのですが
反面、皮脂をとても吸い込みやすいので輝きを取り戻す為、自分はよく食器洗浄の中性洗剤で洗ってますよ?」
「すごく綺麗です」
クリストファーは魅入られた様にボゥッと感心しながら指で触った
「この彫刻、カービングの図案はなんですか?」
「朱雀、玄武、青龍、白虎の四神と麒麟、”守り神”です
金の模様は家紋、洒落ですよ?
残念ながら我が家に代々伝わる紋ではありませんが?」
「存じています、ぇとこれは『真田家』、ですよね?」
クリストファーは更に続けて切り込む
「〜死地に向かう時のみ使用した勇者の証です」
ほおぅ、と言う顔でノブシゲの眉が上がる
「王子様、物知りですね…!」
「クリスで構いません
王宮のライブラリーの書籍、立体映像は見尽くしました
学校へは余り行けませんでしたので」
「ーーーー」
一瞬の奇妙な間が開いた
「”そうでしょう”ね」
信繁は答えると、何処か遠いところに視線を合わせながら微かに声が揺れる
「では〜クリス様で今後ふたりの時はお呼び致します」
”承認”を、丁寧に静かに答えた
『??ーーーどうしたんだろう…この方は?』
どうしたの?
『……今、彼…心が彷徨っていたみたいだ』
勘の良いクリストファーは思った
信繁はポケットからゴソゴソ薄い立方体の細長い箱を引っ張り出す
「こちらをどうぞーーー…」
丁重にクリストファーの方に差し出した
『??何だろうーーー??』
贈られた品が何なのか全く想像がつかなかった
信繁は謎の品を、彼の目の前のシーツの上にそっと置いた
「ジャパンにいる時、僅かでも、無いと目がお辛いでしょう?
用意した品は既に”なくしてる筈”ですし」
「?」
『あっーーーひょっとしてーーー…!』
「カップを下さい
後でまたお飲み物はご用意しますから」
クリストファーは、差し出され大切そうに置かれた箱を、まるでカップと引き替えのように受け取った
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