第29話

『あれって確か〜

伝説の恋と美の美神ヴィーナス〜の宝石だ


別称 ”女神アフロディーテ”の美しい爪を息子であるキューピッドが悪戯で『恋の矢じり』で、美人ママが眠ってる最中にカットして、仲良しの精霊や女神に自慢して見せびらかしたんだ


キューピットに見せて貰った爪が、余りに艶めく美しさに見とれ、ときめきを覚え感動した運命の女神達がヒソヒソ相談した


「ぁあ〜なんて美しいのかしら」

「こんな美しい物は無くさず永遠に残しておきたい」


で、神の力で何色もの色味を輝かすお洒落な宝玉に変えたんだっけ?


オニキスは地球ギリシャ語で『爪』、確かそうだった筈だ


今は、何でか”ブラック1色のものだけ”を”オニキス”って言うんだけど?


元々はアゲートっていう、物凄く細かい石英の結晶っていうか?


粉粉が水に溶けて、その地下水とかが地下の空洞とか岩石の穴に入り込んで、途轍もない地圧でギュッと圧縮されて出来た鉱石だ


地球東洋の言葉では瑪瑙メノウ


鉱石が出来るこの過程で、時間をかけてゆっくり滲む様にユラユラ固まるから、グラディエーションの美しい暖色の虹みたいな縞や、時に中心に”水入り”なんて物もある


全部”受け売りだけど”、堅い縞々鉱物全般を指してるっていう


色むらの無い物を”カルセドニ”、レッド系顔料の名前でもある”カーネリアン”


後〜、ジャスパー、ブラッドストーン、クリソプレーズ、って言うくらい、とにかく種類が豊富で

でもって元々成長過程で石が圧縮して出来てるから鉱石には目に見えない細やかな穴があって


それを利用しイオン溶液を染みこませて高温で焼くと綺麗なグリーンとかに染まるんだよね!


何せ石英だから熱にも丈夫だ


 

行きつけの自然史博物館・館長さんが言ってたぞ?


カルセドニー

数多産出のギリシャの街の名前、カルセドンから名命された


黙示録にもエルサレム城壁土台石一部として登場する


そうだ、アゲードも言い伝えでは神々の神話の舞台の海洋に浮かぶ島、シチリア島


”アカーテ”川のほとりで発見されたからこの名前になったんだ


彼のブレスレットの石は何だろう、オニキスかな……?


う〜ん違うと思うな


だってだって…軽そうだもん


うん、オニキスは重いのだ……!!

 

だからたった1つ、条件に該当する鉱石がある

 

シンセティック系かは〜流石に僕にはわかんないけれど


多分ーーーこれは…!ブラックダイヤモンドだ 絶対!!』


彼は自然史博物館館長に”四方山話のネタ”としてこう教えられていた


「元々、ダイヤモンド自体が古来からパワーと権威の象徴です


でもね、いつの頃からかブラックダイヤモンドはパワーストーンの中でも最強の石とされたんですよ

 

潜在能力の強化、未来を切り開く〜”圧倒的な力が宿る石”だと


そう正に〜正しくパワーストーンだとね


本当にそんな強力なエネルギーがあるのかは持ち主の思い次第でしょうがねぇ?


ーーーですが何事も気分からです

ほら私もこうして〜ね♪


ただ個性が強すぎて情熱的すぎるとも…?

戦闘に向くアグレッシブな男性がつけるといいのでは無いかと思われますよ?」


館長はニッコリ笑い、自身の指に嵌まった太いアームのリングを、つぃっと彼の目の前にさしだして見せてくれた


 

ハッ…と思わず息をのむ


「ウワァ〜凄く……格好いぃーー…!」


「えぇ…そうでしょ?」


館長は満足げに慇懃に、目を興奮でキラキラ輝かす好奇心一杯の『お気に入りの勉強家』、クリストファー王太子に微笑んだ



確かに思わず、そう呟く程に、そこには説明の”黒い大きな鈍く光る石”が、リング中央しっとり上品に輝いていた

 


信繁のブレスレットにはポイントに点々と、ざっと直径が水晶の丸玉と同じ位のサイズの

おそらく推定ブラックダイヤモンドとおぼしき宝玉が全部で合計6個、6石使われていた


相当ーーー高価な品と思われた


所々キラリと光るのは黒地にそれぞれ2×3の、特徴的6つの丸い刻印が輝く金線でうがたれている


水晶も所々配置でカービングが施されている様で、図柄はパッッと見た感じでは残念ながら、磨りガラスに似ているせいで何も判別できない



『だけど〜!!』


ただ2×3の丸配列の図案にはピンッ!と心当たりがあった


ヒュッとクリストファーは喉が鳴り思わず声が出そうになった



『思い出したっ!!

ここはジャパンーーー日本だ


あぁだから彼、ノブシゲなんだ!』


クリストファーには『ノブシゲ』が どんな『漢字』


〜表記文字なのかもハッキリ、クッキリと全て見当がついた




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