13−4

<家族お揃い>の映像なんぞ、何処のホログラム・ムービースターがD-01に大挙来訪したかと勘違いする程!

全員飛び抜けたルックスで一応は見慣れた振りをするが、毎度腰が抜けそうになる


しかしクリストファー王太子は知っていた

親友の家には誰にも言えない仄暗い、途轍もない『秘密』があったのだ


外側から見ると…一見華やかで社交的だが

家訓ーーー

内々の規則とかに関してはとにかく石の如く厳格な事から、おそらくは来るのだろうと思う

 

特に父親が、見ていて最悪と思う程〜嫌な最悪の性格を持つことだった


言い切ってしまえば『異常者』


労りの心が無くーーー……

どこか……人として『おかしかった』


サディズムの信奉者

合理的である事を異様な程、何よりも第一義として尊ぶ……

冷徹で外面ばかりが1番に大切な血も涙もないエゴイスト…


ーーー2重どころか

それ以上の人格の、度を超す異常過ぎる教育熱心な人物だった



ウィンストンの父親にはーーー

言っては何だが…!


王家に仕える口やかましい〜

礼儀作法と部下の教育に厳しいことで名を轟かす侍従長も余裕で負けるとクリストファーは確信していた

(これについては錯覚では無く、なんと侍従長本人自身が陰で『ヤレヤレ〜』『あの古狸は!』と、コッソリある時顔をしかめてブツブツこぼしたから間違いない)


ウィンストンの父親は、大人の目から見ても『そういう評価』を得ている、誰もが引く強烈に筋金入りの硬派だった

 


「自分があそこまで厳しくされたら、酷い嘘つきに成長するか 反抗的になるか〜

王宮から逃げ出すに決まってるし?」


「探さないで下さい」

電子ホログラムメッセージを残し絶対スタコラサッサと脱走する

 

「高い王宮の壁を忍者の様によじ登って、何処か宇宙の片隅で世捨て人になる方がずっとまし」

クリストファーは確信していた

 


あれは中等部最後の年ーーーだったと思うから15歳くらいの出来事じゃなかったか?


医療人工皮膚テープで何とか本人的には隠そうとしていたけれど、1度ウィンストンは口元をパンパンに腫らして登校した時の事を思い出す


見た瞬間 ーーー…『幽霊みたいだ』と仰け反った


ジャパンに伝わる<伝説的>、学生忍者少年3人組の個性的アニメーション…

確かソレに出てきたキャラクターだった


昔々コッソリ見つけたーーー父の兄〜ヘルヴィム伯父の残した『超貴重な宝物』


人は死すと漏れなく一旦霊魂がそうなるらしい

それから善行次第で<天国地獄>とシステム的に振り分けられる


全く別の…同じくお宝2次元アニメーション……!

地獄の真面目使者3人組VS不真面目我が儘少年貴族のお話でも確か?そう語っていた


ひゅーどろどろどろーーー……

恨めしやぁ……

がお約束とのこと


本当に あの時はギョッとした

 

「うわぁ本物が現れた〜〜〜〜!」

学園で尻餅着いて腰を抜かしそうになった


『そうだーーーー

確かにあれは中等部最後の年、15歳の時の出来事だ』


恐怖から気分が立ち直り、医療人工皮膚テープで隠そうとしていたパンパンに腫らした口元を無理に晒しあげる


「見せてみろよ!!」

「嫌だ!」

「馬鹿っっ 何言ってんだよ!!」

 

小さなゴリゴリの押し問答の末

嫌がるのを無視して手を伸ばし一気にザッとテープをはがすと!!


そこには幽霊よりも悠に恐ろしい……!


恐怖のーーー

今迄見たことが無い異様な紫色の痣があってひぃぃと仰天した


「ぎゃっっ!!」

思わず王太子としてはお品が悪くクリストファーはつい言ってしまった


「痛いーーー」

「ぁ〜〜…こういう時は ジワジワ剥がすより良いかなっと思ってさ?

 でもゴメン」


顔がジンジンし、もはや赤目のーーーー

白ウサギちゃんソックリのウルウル涙目、美しい親友のそれは哀れな姿


〜気の毒過ぎる…踏んだり蹴ったりの親友に彼は丁寧に謝罪をした


「それ誰?

ーーーー…御父上にーーーだろ?」


口元を彼の耳たぶに寄せ、ボソボソ小声で囁いた


「〜ーー…・・・・……・・・・・・・・・・…………ーー……ーー」

「……もういいよ そんなに悩まなくても」


クリストファーはフーー〜っと大きく溜息をついた



状況は『いつも』と全く同じだった


どんなに体と精神が最悪に…酷い状態でも

彼が〜……

口を割ることは絶対に無かった

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