Act21. 貴公子アイドルのスキャンダル ~夏陽side~

 正真くんと初デートから二週間が経った。

 あたしは部屋でベッドに横になってぽーっとスマホの画面を見つめている。

 駐車場でからんできた人たちから助けてくれたあと、入ったカフェでトレイを持ってくれて。

 さらっと椅子まで引いてくれて。

 彼はテレビや動画を通して見る以上にかっこよかった。

 正真くんが卵料理が好きっていう情報を知っていたから、おいしいオムライスのお店を知ってるんです! って、ちゃっかり次会う約束もしてきちゃった。

 考えただけで頬が緩む。

 ごろんとベッドに頭をもたげて――かかげたスマホに見えた文字に、んっ? と声をあげて身を起こす。

 検索エンジンのトップのネットニュースの欄にあった一文。


 藤波正真、一般人に暴行か?


 心臓が、止まるかと思った。

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