51【衝撃波?】
「#&##&!」
開幕ブレスを放ってくるアンノウン。しかし、ビームよりは予想しやすいので避けやすいと言えば避けやすい……が、ブレスの場合は口から吐き出されてる間は向こうが自由に動かせるわけで、避けたとしても動かして俺を狙ってくる訳だ。
「アイスバレット!」
避けている間に氷の弾丸を数十発生成し、ブレスが止まったところで射出させる。射出させつつ近付き、一定の距離まで近づいたところで残りの弾丸を一斉に発射させる。
「$!?」
もちろん、同じ方向に全部撃った訳ではなく、不規則に発射させたから避けても別方向から弾丸が飛んでくるし、薙ぎ払ってもまた別方向から飛んでくる。
それなりの数を放ったので、結構の数の弾丸がドラゴンもどきを貫いた。これは結構ダメージ入ったか? 何かどこか苦しそうな声を出すアンノウン。まあ何言ってるか分からないのだが。
「追加だ。落ちろ!」
そう言うと上空に魔法陣より追撃のごとく無数の氷の礫が降り注ぐ。この氷の礫には追尾する性質はないので本当に雨のように降り注ぐだけである。
かなりの物量で降り注ぐ氷の礫。かなりの広範囲に展開されているため、避けようにも避けることは出来ない。俺自身も普通に氷の礫に当たってるしな。
ただ、アイスブラストのように自分にダメージが有るのかと言えば不思議なことにこっちについては特にダメージはないみたいで、魔力装甲が削れるということもない。
「&#”&”&!?!?」
そんな物量で襲われればいくら強そうなアンノウンとは言え一溜まりもなく、かなりのダメージを与えられているのか、羽無しドラゴンもどきは痛そう? に暴れている。
さて、何でこんな氷の礫が降り注いでいるのかと言えば……忘れているかもしれないが、少し前に俺が上空に魔法陣を設置したのを覚えているだろうか。
あの魔法は知っての通り”アイシクル・レイン”である。前にちょっとだけ使ったことあるよな……見ての通り氷の礫を降り注がせる魔法だ。
正確には魔法陣から降り注ぐと言えばいいか……この魔法は設置型の広範囲攻撃魔法だ。指定した場所に魔法陣を設置し氷の礫を雨のように落とす魔法かな。
一度設置すると場所を変更することは出来ないが、追加で別の場所に設置するということは可能なのである。そして自身の好きなタイミングで降り注がせることが出来る。これについては今回初めて言ったかもしれない。
「おー効いてる効いてる」
だいぶ、効いているように見えるが……残念ながらまだしぶとく生きているようだ。消滅せずに居るということはそういうことである。
「でもいやっぱりしぶといな」
レベルはいくつくらいだろうか? 6にしてはなんかこうぱっとしないと言うかなんというか。いや、6は出ない方がいいんだけどね。
6だとしてもじゃないとしても、まあ弱いってことはない。今までのアンノウンと比べればかなり強いだろうと思うが、東京に出現したアンノウンレベルではないような気はするんだ。
まあ、そもそも東京に出現したアンノウンについては実際俺がその目で見たものではないからなんとも言えないのだが。
「##!」
「またビームか?」
ただ何かさっきまでとは違うような……いや、そんなこと言ってる場合ではないな。
「!?」
同じようにビームが来ると思い避けようとしたのだが……いや実際、ビームは放たれたしそれを避けたはず。だけど、気づいたら俺はふっ飛ばされていた。そして魔力装甲が結構削れる感覚……。
魔力装甲があってもダメージを受ければそれなりの衝撃が来る。あくまで魔力装甲はダメージを抑えるだけなので、物理的にふっ飛ばされたりする場合は普通に飛んでいってしまう訳である。
「お姉ちゃん、大丈夫!?」
何とか吹っ飛びを抑えようとしたのだがそこで、聞き覚えのある声と同時に身体を受け止められる感覚がする。
「っ……雫、ありがとう」
「これくらいどうってことないよ!」
俺を受け止めてくれたのはアイス・メロディー……つまり雫であった。近くにはフルールも居る。
「向こうのアンノウンは倒したのか?」
「うん。そこまで強くなかったし、追加で湧く感じもなかったから倒せたよ」
「そうか……」
そのまま俺は受け止められた状態から元の体勢へも戻り、アンノウンを見る。
「今何が起きたんだ?」
ビームのようなものを撃たれた気はするのだが……ビームに直撃してそのままふっ飛ばされた? 勢いよくふっ飛ばされたのは意外に初めてかも知れないな。
「何か衝撃波のようなものを飛ばしていたよ」
「衝撃波……」
再びアンノウンを見る。
なるほど、ビームではなく衝撃波か……。
「正確にはビームと衝撃波の両方かしらね。奏が受けたのは恐らくビームの後に撃たれた衝撃波のはずよ」
まあ、ビーム自体は避けようとしてたし実際回避できたけど……その後の衝撃波にやられたのか。
「ビームとブレス以外にもあったかー……」
「衝撃波は視認性悪いわね。結構透明だったし」
見えなかったしな……。
いや、よく見れば認識できたのかも知れないが、あの時はビームに集中していたしな……同じように回避したところであの攻撃。
「しぶといね、あれ」
「そうだな……結構攻撃は当ててるけど」
とは言え……何となくではあるけど弱ってきている気はする。衝撃波という新しい攻撃手段についてはちょっと危険だなと思って使い出した可能性があるな。
ほら、ゲームとかのボスってHPとかが一定の数値まで減ると行動パターン変わったりする時もあるし。いやこれはゲームではないのだが。
「まあでも結構削れているように見えるし、後少しな気がする」
何にせよ、早いうちに倒さないとな。
▽▽▽
「野良の魔法少女2人が交戦中……1人がフリーズ・フルール?」
「見た目からして間違いないと思います」
かなりの数の魔法少女がこの場に集結したのはいいけれど、そこで気になる情報を耳にする。暗雲から出てきた大きなアンノウン……既にそれと戦闘している野良の魔法少女2人。
いや、野良の魔法少女2人が交戦中という情報は少し前に聞いたのだが、それではなくその中の1人が聞き覚えのある名前だったことに驚く。
氷の何かが降り注ぐ光景を既に何人も確認しているのは知ってるけど、あれがフリーズ・フルールの魔法ということになるのかしらね?
「いえ、降り注がせてたのはもうひとりの方だと思います」
「そうなの? ってことは、あそこに居る2人の魔法少女って氷?」
「……そうなりますね」
……。
氷属性の魔法少女。過去に確認されたのはアイス・メロディーのみ。そしてつい最近分かった氷属性の魔法少女はフリーズ・フルール。
アイス・メロディーは5年前に死亡となってる。とは言え、正確には行方不明なのだけど……とにかくアイス・メロディーは今はもう居ないとされている訳ね。
そこで話が戻るけど、過去にアイス・メロディーという氷属性の魔法少女が居たけれど、行方不明になっている。そして現在確認されているのがフリーズ・フルールと呼ばれる最近誕生した野良の魔法少女。
ここで分かると思うけれど、今現在確認できている氷属性の魔法少女はこのフリーズ・フルールのみになるのよね。
だからもう1人居るのはおかしいのだ。もしかしてまた新しく誕生した魔法少女?
「いえそれが……」
「?」
そう聞けばどう言っていいものか悩んでいるような顔を見せる魔法少女たち。どれだけの脅威があるか分からないのもあり、攻撃指示はまだ出してないのよね。
なので今は偵察という感じで離れた位置から見てもらっている状態である。この避難場所周辺もまだアンノウンが度々攻撃してくるのでここも守らないといけない。
と言うよりここが一番の優先防衛場所である。ここには一般人もたくさん避難しているから守らないといけない。
地下の避難所については知っての通り破壊されてしまってるから使うことが出来ない。
「月夜さん、これを見てください」
「ん?」
魔法省の職員の一人が1枚の写真を渡してくる。
「衛星写真で確認したそのもう1人の魔法少女です」
「……え?」
そう言われるまま私は写真を見る。そこで私は、その写真に写っている魔法少女を見て言葉を失うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます