第4話 父達の思い出の味を求めて

リサ「これが親父の再現したかった味!こんなおいしかったんだ!」

シヤン「パパが再現したくなるのもよくわかる!」


リサとシヤンは電球が照らす山小屋の中のこたつに入り、赤いきつねと緑のたぬきを割りばしで器用に食べている。

一度に一人で赤いきつねと緑のたぬきを食べる事ができないので2人はマグカップを使い分けあう。シェアする光景は女の子ならではの食べる形で美味しいという表現は言葉だけでなく尻尾がゆらりと振るっていることからもわかった。


茂「まさかソロとティホンの娘達が来るとは思ってなかった。」

光樹「そういえば父さんの場合はどんな出会いだったの?」


リサ、シヤン、光樹は20年前どんなことがあったのか茂の話に興味を持った。

彼女達の父親ソロとティホンが事故でたどり着いた地球。そこに居合わせた茂が今日と同じように木々がなぎ倒されて、倒れていた2人に遭遇したのである。

どうしようと悩んでいたが冬のからっ風に吹かれて、一人ずつ山小屋に担ぎ運びこみ、そのあとソロから起こそうとしたが寝起き悪く、茂の頬にパンチが飛んできたと言う。


茂「あの一発はかなり痛かった覚えがある。」

リサ「親父の寝起きの悪さは昔と変わらないのか。」


頬をさする茂に苦笑する狐のリサ。

そのあとひたすら謝るソロが居て、それに気づいたティホンも起きて、気まずい空気を崩したのはティホンの腹の音であった。


シヤン「私のパパらしいや。」


シヤンはくすりっと笑う。


茂「ソロとティホンと3人で初めて食べたのが今食べている赤いきつねと緑のたぬきだ。」


その後、救難が来るまでに異文化交流して、食事は3食のうち1回は赤いきつねと緑のたぬきといった具合であったそうだ。別れの時にソロとティホンには残った赤いきつねと緑のたぬきを持たせて見送ったという。


リサ「親父たちにそんな経験があったんだなぁ。」

シヤン「リサ。僕らも救助のめどが立ったみたい。めどが立つのはやすぎな気がするけど?」


リサとシヤンの耳飾りが点滅しており、彼女達の迎えのめどが立ったようだ。


光樹「もう帰っちゃうの?」

リサ「あぁ。あと1時間で救助される。親父の冒険もうちょっと聞きたかったけど仕方ないな。」

シヤン「パパの思い出の味にもおかげで会えたし、光樹と茂に出会えてよかったよ。」


残ったわずかな時間で彼女達と光樹は異文化交流し、その間に茂は手紙を書き始め、最後に彼女達のツールで記念撮影をし、ソロ、ティホンに宛てた手紙とお土産に箱に詰めた赤いきつねと緑のたぬきを渡し、光に導かれ夜空へ上がっていく彼女達を光樹と茂は手を振って見送る。


光樹「(父さんの言った事は本当だった。)」

茂「(俺達そろって親になったんだな。)」


茂と光樹はそれぞれの思いで夜空を見上げるのであった。










リサ「あ!親父にしげるの手紙渡すの忘れた!」

シヤン「そういえばそうだね。この手紙渡したらどんな顔するだろうね?」


この後、赤いきつねと緑のたぬきを食べ終わったソロとティホンが手紙を受け取り、彼女達は親から地球での出来事を聞くのであった。

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青の星より @Wnbellheart

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