第3話 20年後の地球に娘達がやってきた。

雑木林の中、茂の目指していた地点は煙も衝突した大きな物体も見えなかったが周辺の幹の太さ20cmもある木々が不自然に一方向へ倒れていた。


茂「考えが正しければこの先に倒れた宇宙人がいる。知らない人と会話するときの様に対応してくれ。」

光樹「宇宙人?」


茂の考えはまだ憶測の枠を出ない。光樹は困惑するもついていくしかなかった。

茂は一度立ち止まり、念のため光樹に注意しておく。


茂「どんな容姿でも驚かないでくれ。これだけはお願いだ。」


光樹は黙ってうなずく。

やがて大きく折れた木々の近くにたどり着くとそこには枯葉の上に倒れる人の姿が2人、冬に差し掛かる山の中だというのに荷物なしの秋に街で着こむ服装でそこまでは人間と同じだった。


光樹「狐と狸?」

茂「俺が知っている2人じゃない・・・しかも女性だ。これは参ったな。」


光樹は獣のような顔立ちと耳、肌を覆う体毛、尻尾から宇宙人というより獣人というイメージが先行し、茂はもしかしたらと思っていたが知人ではなかったのだった。


茂「コウキ、離れてなさい。起こしてパンチを食らうのは私だけで十分だ。」

光樹「・・・え?」


パンチを?という事に疑問を持つが今は父親である茂の行動を見届ける。

茂はランタンを地面に置いて、狐の獣人の肩を軽く叩いたり、声かけして気絶している1人を起こそうとする。

そのうち声をあげて目覚めそうになったので茂は速やかに距離をとる。


リサ「はっ!?」


狐獣人であるリサは寝ぼけ眼で周囲を見回し、もう1人と人間2人を見るや飛び起きて、もう1人の方へ駆け寄る。


リサ「シヤン起きて!シヤンっ!」

シヤン「うーんリサ?こんばんは?」


茂と光樹を睨みつける狐のリサに対し、マイペースな狸のシヤンである。


リサ「人間に見つかった!」

シヤン「人間?待った!あの人写真に写ってたしげるさんだよ?」


リサはへっ?と思いポケットの写真を取り出して見比べてみる。


リサ「あ・・・あんたがもしかしてしげるか?」


震える指をさしながら聞く相手は光樹であった。


光樹「俺は光樹。隣にいる父さんが茂だ。」


すぐさま顔を茂の方向へ向けるがからっ風が吹き抜け、リサとシヤンがぶわっと毛並を逆立て寒さに震える。


茂「ここは寒いから山小屋でこたつに入って話そう。コウキ、ブランケットを渡して」


寒さに震えるリサとシヤンは光樹からブランケットを受け取り、山小屋へ案内されるのであった。

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