第85話
「保奈殿は?」
玉兎を負ぶって駆けて来る平治に若犬丸が尋ねた。
「怪我人がいないか見て来るって行っちまった」
保奈殿らしいな、と口の端で笑う若犬丸を見てさすがに落ち着いていると平治は感心した。
「みんな!」
蘭と葵が女、子供らを連れて合流して来た。保奈の姿がないので蘭も尋ねてきた。
平治の答えを聞くと眉を寄せて炎の海と化した集落を見、保奈ちゃん、と呟いた。
「平治殿」
と若犬丸。
「皆を連れて先に逃げてくれまいか」
分かった、とだけ言うと平治は蘭たちを促した。蘭は躊躇う風だったが大丈夫だと平治に念を押され猶振り返りながらも集落から逃れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます