第83話

 揺らめく炎が野盗の頭目、龍衛の呆れ顔を照らしている。

「巳之助、ちと火薬が多過ぎたんじゃねか?」

 巳之助と呼ばれた男はばつが悪そうな顔して頭を掻いている。

「これじゃこっちまで焼け死んじまうぜ」

 龍衛は炎熱に臆する風もなく歩みを進めた。その後ろを手下たちが腕で顔を熱から庇いながら続く。

 男が一人、出迎える様に進み出て来た。それは若犬丸らを襲った一団の頭だった男だ。

「よお、さっさと案内しろ」

 龍衛にそう言われると男、三吉は媚びる様に笑った。

 

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