第81話
戦が始まりました、と芙蓉が言った。由佐は、そうかとだけ答える。
「義挙でございます。隣国の葦名の長子がこの邦の民の惨状を見兼ねて兵を挙げられたのです」
芙蓉の顔を横目で見ながら昂っているなと由佐は思った。
「どう言い繕おうと戦は戦であろう」
由佐がそう言うと芙蓉はそれはそうですが、と俯いた。
「すまん、水を差したか。お前たちはどうするのだ?」
「私たちは戦禍を被ったものたちを救います」
そうか、と答えた由佐の胸内にはお前はいまでも我が里の巫女だと言う妙光の言葉が響いていた。
「私もお前たちと一緒に行こう。疵や病を癒す力はないが野盗退治くらいならしてやれるだろう」
由佐がそう言うと芙蓉は心強いですと笑った。
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