第13話
結界は壊されていないのに、どうして…
由佐の清冽な気を感じながら保奈は結界内に足を踏み入れた。慈光の一行と村の者以外は由佐の結界に拒まれるはずである。村から立ち上る煙を認めて足を速めて来た保奈は混乱していた。
ともかく、玉兎を見つけねば…
そう思いながら保奈は玉兎が老婆と共に住まっていた家屋を目指した。しかし、周囲の有様にすぐに足が止まってしまう。やはり賊に入り込まれたのだろうか。だとしらお二人はご無事だろうか。
断末魔の叫びが聞こえた。
恐怖に体が震えたが保奈は押して声がした方へ進み、物陰から様子を窺った。
玉兎!
保奈は我を忘れて蹲って泣いている玉兎へと駆け出して行った。
「玉兎!玉兎!」
息を切らしながら玉兎を抱きしめ安堵した保奈だったが、背後に圧せられる様な気を感じ玉兎の温もりも失せる程の悪寒に襲われた。首が、意思に抗って振り返ろうとする。ならば目を閉じたいと思ったが、涙の浮かぶ目は瞬きもせず見開かれたままだった。
鬼女と化した由佐がいた。
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