第11話

 咄嗟に放った法力であったので、無論その威力は損なわれていた。しかし娘に当たればただでは済まなかっただろう。慈光は玉兎を庇うため死無常の法力を弾き飛ばした。

 が、それこそが死無常の狙いだった。玉兎に気が逸れた慈光に死無常は渾身の一撃を放った。慈光には身構える暇さえ無かった。目前に迫る光に、ただ目を見開いて立ち竦んだ。慈光の身体が宙を舞い、そして落ちた。

「慈光様‼」

 由佐が駆け寄り慈光に抱き縋った。しかし師は最早答えてはくれなかった。

 

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