**着信**

「はい。白井調査士事務所です」

「もしもし……たん……まるやま、円山花恵です」

「は、あ……ハナマル……さん?」

「白井くん、お仕事中にごめんなさい。今、平気……ですか」

「……ええ」

「今回は、本当に色々とご迷惑おかけして、ごめんなさい」

「はあ……いや平気です」

「私……もう一つ、白井くんに謝らなきゃいけないことがあって」

「……僕に?」

「そっちに、ジュンっていう……例のバーの子から連絡があったら……私のせいなの」

「……はあ」

「ごめんなさい。連絡先を教えろって言われて……その……」

「大丈夫ですよ」

「あの、本当に今回は夫婦そろって迷惑かけてゴメンね」

「……そちらは……もう解決したんですか」

「うん。白井くんのおかげだわ」

「僕は何も……。かえってご主人に心配かけました」

「そんなことないよ。今度、お詫びと御礼を兼ねてご馳走させて?ね?」

「気にしなくて良いですよ。それに……しばらくは、ご主人との時間を大事にしてください」

「……そうだね。ごめん」

「……」

「忙しいのにゴメンなさい。伝えたかったのはそれだけなの」

「はあ」

「じゃあ……またね」

「ええ……また」

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