第8話 私ってもしかしていじわる? なの? EP2

更衣室に行くとみんながきゃきゃ騒ぎながら着替えをしていた。

「ねぇねぇ、めぐみぃ。あなたまた大きくなったよねぇ」

ほとんどみんな隠すことなく、裸になって水着に着替えている。


「そうなんだようねぇ――。最近重くってさぁ」

「うわぁ―でたぁ――!! あるある人の優越言葉!」


「もうそんなんじゃないって。当人にしたら切実なんだから、ホント重いし何するにしたってなんか邪魔だし、動きに制約かかちゃうんだもん。ああ、ホントやんなちゃう」


「何をおっしゃいます。そのおっぱいだけで男なんかより取り見取りじゃん」

「ほんとだよねぇ――。男なんかおっぱいさえあれば、それでいいっていう感じでさぁ」


「ほぅ、そう言うサチさんはどうなんですかねぇ。その後何かいいことでもあったんですか?」

「べ、別にぃ」と言いながらにマッと口角が上がっている。


「もしかしてここの可愛い突起部分を、こんな風につままれちゃったりされたぁ!」

「あっ、ちょっともう。最近ものすごく敏感になっちゃたんだからやめてよ!」


「あらあら、さてはもしかしてサチも、私たちの仲間入りになりなりましてぇ!! もうこっち側になったていうことかなぁ」

「はいはい、そうです。て、もうぉ!」


「アハハ、そうかようやくかぁ。おめでとサチサチ。ちゃんと避妊はするんだぞ! 孕んだらシャレになんないからね」

「はぁ―ほんとめんどくさ!!」


ちょ、ちょっと……。何? かなりきわどい話してないこの子たち!

て、こっち側って、そう言う側なの?


マジかぁ――。ちらちらっと彼女たちの体を目にすると。

ん――ん。なるほど、て、何が変わっているという訳でもないんだけど。

同じ同姓。女の子……。もとい、子はつけてもいいのか?

女、としてなりたっている。ということなのか?

よくわからない。


そんなことに気を取られていて、隣で春香が着替えしていることにようやく気が付く。

「優奈、急がないと始まっちゃうよ」

「……う、うん」て、えっ!

すぐ隣、ちょっとよろめけば肩が触れちゃうくらい近くに、全裸になった春香の姿がある。


う、うわぁ!! やっぱでかい!


くっきりと水着のラインが肌に刻み込まれたかのように浮き出ている。その隠された部分は意外にも色白で、再確認するその存在感のある胸から続く白い部分は、きめ細かな綺麗な肌に見えた。

触るとどんな感じなんだろう。そんな衝動に駆られてしまう。


「ほら急ぎなって言ってるじゃん」春香がまた私をせかす。

「あ、う、うん」

促されるように、私も脱ぎ始め、春香から借りた水着を見つめた。


春香の水着。


あの春香の肌が直接触れた水着。

それを私が着る。……。


間接肌接触。


ああああああ! なんだかとっても緊張しちゃう。


「まったく何恥ずかしがってんの。ほら早く脱いだ脱いだ」

そう言いながらすでに着替え終えた春香の手が、私のブラウスのボタンを外していく。

ボタンがあっという間に外れ、ブラがあらわになると。


「優奈可愛いブラ付けるじゃん」そう言って、手を背中に回し、プチっとブラのホックを外す。

今まで抑えられていた部分が少し解放される。


「う――――ん。意外とあるんだなぁ優奈って。着やせするタイプか?」

「うそ! そんなことないよ。春香の方が私より大きいしカタチだってきれいだよ」

「うへぇー、なぁニ優奈ぁ――。そんなにじろじろ見ていたんだぁ」


「あっ、いや。その……。偶然、偶然目に入っただけだから。そんな見つめてなんか」

「うふ、別にいいよ優奈なら。ほらスカートも脱いで」

スカートのホックを外されると、すとんと床に落ち。


「ブラとおそろか。可愛いよ」またそんなことを私に投げかける。

残すはパンツだけ。

まさかパンツも脱がされてしまうの?


「もう後は出来るでしょ。私先に行っているから、遅れないようにね。うちの顧問遅れると、ほんとうるさいからね。それじゃ、先に行っているよ」

にっかりと笑う春香の顔は、とてもまぶしかった。

「はぁー」と一つため息を吐き出し、このドキドキを感じながら、パンツを脱いで春香の水着を自分の肌に触れさせた。


なんか……。もう……。これだけで……。

ダメ!!


でもそんな余裕もないことを私のまわりが教えてくれる。

もう更衣室には私一人しか残っていかったのだ。


やばいぞ! 遅れちゃう。

せっかく春香が貸してくれたんだ。それがみんな台無しになっちゃう。

もう無我夢中で春香の水着を着こみ、タオルをもってプールへと向かった。


あっ! やっぱり……。春香の方が大きいんだ。

胸のあたりに余裕感を感じさせる水着。

そんなこと、感じなくとも、わかりきったことだ。


ああ、もう少し。あと一まわり。せめて……ほしい!


そんな願いは、単なる私の我儘にすぎないのかもしれないけど。

出来ることなら春香と、対等なものを持ちたいという欲が出ちゃっている。


いやいや、そんなの無理だよ! 


でも、まだ成長過程にあることを願い。その欲望を満たしてほしい。

本当はもっと別な欲望が、私の頭の中で渦巻いているのは今はまだ、春香には悟られたくない。


だって……。ものすごく恥ずかしいから。

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