第2話




付き合って何回目かの冬。


彼は人手が足りないの地方の部所に臨時職員として出向させられていた。


恋人になって初めて別々にクリスマスを過ごして、30日まで仕事だし来月には帰るからと年越しも向こうで迎えることになった。


来年は一緒に初詣にも行けないのか。


少し寂しいけど彼もお仕事を頑張っているわけだし、久しぶりに実家で過ごすお正月も悪くないかもしれない。


なんて考えていた年の瀬。

珍しくお酒を飲んだのか酔っ払った彼から電話がきた。



『さみしい…』



ポツリと、こぼれ落ちたみたいなその言葉に胸がぎゅっと締め付けられる。


見知らぬ土地で独りで過ごしているんだ。彼だって寂しくないわけがなかった。


とは言え彼がこんなにストレートに弱音を吐くのは珍しい。ここは彼女として優しく癒してあげたいところ…。



「かわいい~!」


『え』



いけない。本音が出てしまった。

けど普段頑張っている彼が私にだけ見せてくれる弱ったところなんて可愛いに決まっているから仕方ない。



「ごめんなさい、つい」


『君は寂しくないの?』


「寂しいわ。だからあなたも寂しがってるのが少し嬉しい」


『…ずるい人だな』



ふっとため息混じりの笑い声が耳に届く。きっといつもみたいに少し困ったみたいに眉毛を下げて、優しく笑っているんだろうな。



「ね、今年も一緒に年を越しましょうね」


『一緒に?』


「そうよ。年越しそばも一緒に食べるの」


『…』


「だめ?」


『駄目じゃないけど、一緒にって…』



少し弱った彼の声が愛しくて、思い付いたばかりの計画を話して聞かせた。



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