第59話 それってご褒美なんだ?
寝るときは女子はブラを外す。
言われてみればそのとおりなのに、透は完全にそのことが頭になかった。
透の手はネグリジェの下に潜り込み、、背後から直接愛乃の胸を触る形になっている。
慌てて透は手を放した。
愛乃は不思議そうな表情で透を振り返る。
「お風呂のときにたくさん触ったのに、いまさら恥ずかしがらなくてもいいのに」
「あ、あのときとは状況が違うよ」
あのときは裸だということは知っていたけれど、今、胸を直接触ってしまったのは予想外だった。
しかも、知香の目の前でもある。
愛乃はくすっと笑うと、いたずらっぽく上目遣いに透を見た。
「透くんの恥ずかしがり屋さん。もっと触ってくれても良かったのに」
そう言って、愛乃はかなり透けている服を強調するように、ネグリジェの裾を引っ張って見せる。
すると、自然と胸の谷間が強調される。
そして、愛乃は透に一歩近づいた。
透は思わず後ずさり、そしてベッドに足が当たって倒れ込んでしまう。そんな透を追って、愛乃もベッドの上に上がった。
そして、四つん這いになって、媚びるように透の上にまたがった。
もともと丈の大きなネグリジェの胸元が下に広がり、白い胸の谷間が見えている。それどころか胸がまるごと見えてしまいそうなほどだ。
「透くん……」
愛乃は甘えるように、小さく透の声を呼んだ。透も愛乃も薄着で、ベッドの上で二人で密着している。
透は愛乃の胸に視線が釘付けになっていて、理性が飛びそうになっていた。
透が身じろぎすると、愛乃は「ひゃうんっ」と小さく声を上げ、胸がぶるんと揺れた。
もしそのままだったら、透は愛乃をどうにかしてしまっていたかもしれない。
ところが……。
「……リュティさん。仕返ししてあげるんだから!」
「え? あうっ、こ、近衛さん!?」
知香が後ろから愛乃に襲いかかっていて、豊かな胸をわしづかみにしていた。
愛乃は逃げようとするけれど、ベッドの上で四つん這いという姿勢だから簡単に逃げられない。
「ちょ、ちょっと……あっ、おっぱい触ったりしたらダメっ」
「さっきまでの私が味わった辱めを、味あわせてあげるわ!」
「こ、近衛さんってちょっと悪役っぽい……あうっ、じょ、冗談だからやめてってば」
透は二人の美少女がくんずほぐれつするのを、顔を赤くしながら眺めていた。
さっきまで胸を弄ばれていた知香も、寝間着のシャツの胸元が大きくはだけていて、愛乃の胸を揉むたびに、自分の胸も揺れている。
(と、知香もブラをつけていないのかな……)
透はそんなことを考えて、ぶんぶんと頭を横に振った。
結局、しばらくして愛乃が知香に降参してしまった。
愛乃は「ううっ」とつぶやくと、恥ずかしそうに透と知香を見比べた。
「ごめんなさい。近衛さんをからかったわたしは、悪い子でした……」
「よろしい」
愛乃を謝らせて知香は満足そうに胸を張る。相変わらず、胸元が露出していて、透は視線に困った。
愛乃はちらりと透を上目遣いに見る。
「ね、透くん。悪い子のわたしにお仕置きをしてくれない?」
「お、お仕置きって?」
「エッチなお仕置きとか」
愛乃がそう言うと、知香は憤然とした表情になった。
「それはご褒美でしょ!」
透と愛乃は顔を見合わせた。
そして、愛乃はにやにやとした笑みを知香に向ける。
「透くんにエッチなことをされるのは、近衛さんにとってご褒美なんだ?」
「そ、そういうわけじゃなくて……」
「胸元もはだけているし、透くんを誘惑してるんだ?」
愛乃が知香をからかうと、知香は顔を真赤にして、そして胸元を隠した。
やっぱり気づいていなかったらしい。
「と、透……! 私の胸……」
「ええと、見てないよ?」
「嘘つき!」
知香に枕を投げつけられるけれど、透はそれを難なくキャッチしてしまった。
そのことで知香はますます頬を膨らませてしまう。
「と、ともかく、今日はもう寝るんだから!」
「それで寝る位置はどうするの?」
愛乃の疑問に、しばらく場は沈黙に包まれた。
それから、結局、透が真ん中で、愛乃と知香に挟まれる形で寝ることになった。
(これじゃ眠れないな……)
二人の女の子と同じベッドで挟まれて寝るなんて、人生初めてだ。
けれど、もう一つ、眠れなくなる理由が、知香の口から発せられるとは、このときは思ってもいなかった。
<あとがき>
次回、ストーリーが動きます……!
面白かった方、三角関係がどうなっていくか気になる! という方は、
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