第58話 下着はね……

「と、透くん……」


 愛乃は戸惑ったような、けれど甘い声で透の名前を呼ぶ。

 

 愛乃の大きな胸を、透はネグリジェの上からさわさわと触っていた。

 白い胸の谷間に透の指が触れると、愛乃はくすぐったそうに身をよじった。


 どうしてこんな行動に透が出たかといえば、愛乃が知香に過激ないたずらをするのを止めるためだった。

 愛乃は知香の胸を背後から揉みしだいていて、透も同じことを愛乃にしたというわけだ。


「透くんの触り方……エッチだね」


「どんなエッチなことをされても平気だって、愛乃さんが言っていたから」


「そ、そうだけど……ちょっと恥ずかしいかも。あうっ」


「知香へのいたずらを止めてくれたら、俺もやめるよ」


「……『知香』って名前で呼ぶんだね」


 透は「しまった」と思う。うっかり昔のように名前で呼んでしまった。

 愛乃は胸をいじられながらも、透を振り返り、上目遣いに青い瞳で睨む。


「近衛さんをからかうのはやめないもの」


「え? でも……」


「だから、浮気者の透くんも、わたしのことを好きなようにすればいいよ」


 ぷいっと愛乃は横を向いたが、次の瞬間には、透の手でそのたわわな胸を揉みしだかれ、「んんっ」と声を上げる。


 知香は知香で不満そうだった。


「やっぱり透って変態! おっぱい星人!」


 愛乃が胸を触られながらも、くすっと笑う。


「近衛さん、ヤキモチ焼いてるんだ?」


「そんなわけない!」


「代わりにわたしが可愛がってあげる」


「え? あっ、ダメっ」


 愛乃が知香の胸を触り、知香は悲鳴を上げる。

 透が愛乃の背後から胸を触り、その愛乃が知香の胸を触る、という二人羽織のような状況になっている。


 愛乃は、知香のシャツパジャマの下に手を入れて、ふたたび直接その胸を触ろうとしていた。


「服の中はダメだってば!」


「恥ずかしがり屋さんだよね、近衛さんも。女の子同士で恥ずかしがっていたら、透くんに触ってもらうことなんてできないよ?」


「透に触ってもらうつもりなんてないっ! ひゃっ、やあっ」


「近衛さんって反応も可愛くてずるいよね。透くんも誘惑されちゃうかも……あっ」


 愛乃はそこで言葉を止めた。透が愛乃のネグリジェの下に手を突っ込もうとしたからだ。


「と、透くん……?」


「愛乃さんがしていることと同じことをしているだけだよ」


「そ、そっか……」


 愛乃は困ったような、照れたような雰囲気だった。けれど、あくまで知香をからかうのをやめるつもりはないらしい。

 愛乃が嬉しそうにささやく。


「恥ずかしいけど、わたしにはご褒美みたいなものだよ? それではわたしを止めることはできないかも」


 胸を触るだけでは不十分らしい。もう少し攻めてみることに透はした。

 透は愛乃の胸を大胆にまさぐろうとして、気づく。


 てっきりネグリジェの下には下着があるものだと思っていた。

 ところが違った。


 愛乃はふふっと笑う。


「寝るときは、女の子はブラを外すんだよ? 知らなかった?」

















<あとがき>


愛乃に翻弄される透、そしてかわいそうな知香……


面白かった方、愛乃と知香のさらなる行動に期待! という方は、


・☆☆☆


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