第50話 なんでスク水?
胸をいじられ、愛乃は身をよじって逃れようとする。けれど、透の力に抑え込まれてしまう。
「あっ、んんっ。やだっ」
「何をされてもいいんじゃなかったの?」
「そうだけど……でもっ、こんなの……恥ずかしいよっ。あうっ」
愛乃は荒い息遣いであえいでいたけれど、透を受け入れていた。
そして、愛乃は透に体をもてあそばれながら、妖艶な笑みを浮かべる。
「このままだと……わたし、本当に妊娠しちゃうかもね」
「そうだね」
「それもいいかも……あっ」
愛乃の大きな胸が透の手の動きに合わせて形を変える。
ふたたび透は愛乃のお尻を触ってみた。
「あっ……またお尻……んんっ。こ、このままだと……わたしのおっぱいもお尻も透くんの形に変えられちゃうかも……」
愛乃は熱に浮かされたように、そんなことを甘い声でささやいた。
そのままだったら、きっと透は止まれなかっただろう。胸を揉みしだき、乳首をつまみ、愛乃の下半身に手を伸ばし……そして、キスをして、最後までしてしまっていたと思う。
けれど、そうはならなかった。
もちろん、透が思いとどまったわけでも、愛乃が止めたわけでもない。
「あ、あなたちっ……な、なにしてるのっ!」
叫び声に振り返ると、そこには知香がいた。
なぜかスクール水着を着ていて、顔を真赤にしている。
知香の姿を見て、透はすぐに冷静に……はならなかった。
半分理性が飛びかかっている。
知香のいる眼の前で、裸の愛乃をの胸を触ってしまう。
愛乃がびくっと震えた。
「だ、ダメっ。近衛さんが見てる……!」
「愛乃さんだって、俺の前で、知香の胸を触っていたくせに」
「そうだけど……あうっ」
愛乃は甘くあえぎ、相変わらず透に好き放題されていた。
一方の知香は、耐えられなくなったのか、透と愛乃のあいだに割って入ろうとする。
「私の見ている前で、よくそんなハレンチなことができるものね!」
知香は無理やり透と愛乃を引き剥がそうとする。
けれど、その拍子に透は体のバランスを崩してしまった。しかも床は洗剤でぬるぬるしているから――。
「え? きゃあああああっ」
透は知香と愛乃を巻き添えに、前のめりに倒れ込んでしまった。
三人仲良く、浴室の床に倒れ込む。
「痛いっ……」
知香の小さな声で、透ははっとする。
知香と愛乃は床に仰向けに倒れていて、透はその上に覆いかぶさるような形になっている。
「あうっ」
愛乃が小さな声を上げる。
透の左手は裸の愛乃の胸を、右手は水着姿の知香の胸の上にあった。
さすがに透は慌てたけれど、思わず力をこめてしまう。
「あっ」「やだっ」
愛乃と知香が同時にあえぎ声を上げる。
愛乃はちょっと楽しそうに、知香は恥ずかしそうに透を見つめていた。
「ど、どいてよ……」
知香の言葉に、透は素直に「ごめん」と言って、上からどいた。
だいぶ冷静になった。
「ところで、なんでスク水なの?」
透の問いに、知香は顔を赤くする。
「だって、こうすれば、さっきみたいにタオルが透けたり、裸になっちゃう心配がないでしょ?」
「まあ、そうだけど……」
横から愛乃がくすっと笑い、口をはさむ。相変わらず愛乃は裸だった。
「近衛さんも本当は、透くんと一緒にお風呂に入るのをすごく楽しみにしていたんだね!」
「そ、そういうわけじゃなくて……。だ、だいたい、私がいないと、あなたたちさっきみたいに、いかがわしいことをしようとするでしょう? 本当に妊娠しちゃうわ!」
「わたしはそれでもいいんだけど……」
「よくない! 二人とも高校生なんだから! これからも、二人がお風呂に入るときは、私が監視するからね?」
そもそも、透と愛乃が一緒に浴場にいるのを禁止すればいいのではないかとも透は思ったが、黙っておくことにした。
知香が咳払いをする。
「リュティさん……体を隠して」
「はーい」
愛乃は素直にうなずいて、それから首をかしげる。
「まだ、洗剤が残っているから、洗い流さないと」
「それはいいけど……透は見ちゃダメだからね?」
透も流石に素直にうなずいた。徐々に頭が冷えてくると、知香の目の前でとんでもないことをしたような気がする。
知香は透のことを嫌っていないと言っていたけど、今度こそ、本当に嫌われたのではないかと心配になった。
ところが、愛乃がシャワーを使っているあいだに、知香は透の耳元に唇を近づけた。そして、恥ずかしそうに、目を伏せて、小声で透にささやいた。
「私が背中を流してあげる」
「え?」
「リュティさんばかり、ずるいもの……」
知香は顔を赤くしたまま、すねたようにつぶやいた。
☆あとがき☆
これで第五章は完結ですっ! 透、愛乃&知香の同居生活の始まり……!
面白い、愛乃たちが可愛かった!と思っていただけましたら
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