第48話 わたしが悪い子みたいだね

※まえがき※

本日2話更新です! 前話のラストを少し書き直しています。

※まえがき了※




 愛乃は透にお尻をまさぐられながら、甘くあえいでいた。


「あっ、んっ……お尻ばっかりじゃなくて……」


「胸も触ってほしいってこと?」


 透は冗談のつもりで言ったのに、小さくうなずいてしまった。


 透が動揺するのを見て、愛乃はくすりと笑う。


「胸だけじゃなくて、どこでも触ってもいいし、何をしてもいいんだよ? わたしを……透くんのものにしてほしいな」


 その愛乃のささやきは妖艶で、ぞくりとするほど心地よく響いた。

 透はそっと愛乃から離れる。


 愛乃と密着して、抱きしめるような形でお尻を撫で回していたから、胸を触るためには、一度愛乃から離れる必要がある。


 バスタオル姿の愛乃は、肌をほんのりと赤く染めて、透を待ちわびるような、期待するような表情を浮かべていた。


 透は愛乃の胸にそっと手を伸ばしかけ、けれど、その手を止めた。

 愛乃は、攻められるのに弱い、というのは今日の発見だった。


 予想外のアプローチを取られると、愛乃はうろたえてしまう。そういうところも可愛いな、と透は思うし、愛乃の言う通りにするだけでは、愛乃も不満かもしれない。


「愛乃さん……じゃあ、体を洗ってあげよっか」


「えっ」


 透の提案に、愛乃はびっくりした様子だった。

 そして、もじもじとする。


「と、透くんがわたしの体を洗ってくれるの?」


「そうそう」


「い、いやらしいことをするつもりなんだ……」


「そんなことしないよ」


 透は言ってみたものの、自分でもまるで説得力がないと思う。

 

 透は愛乃の腕を軽くつかむ。愛乃はびくっと震えるが、まんざらでもなさそうだった。

 透は愛乃の手を取ったまま、二人で風呂から上がると、歩いてシャワーの前に来た。


 そして、透は椅子を指し示す。


「ここに座って」


「う、うん……」


 愛乃は緊張した様子で腰掛けた。そして、透はその背後に立つ形になる。

 正面には鏡があって、バスタオル姿の愛乃を写している。


 バスタオルの上から、愛乃のなだらかでしなやかな体のラインがはっきりと見て取れる。

 愛乃がむうっと頬を膨らませた。


「透くんの目つきがどんどんエッチになっている気がする……」


「そういうふうに愛乃さんがさせたんだよ」


「わたしがエッチな悪い子みたいな言い方だね?」


「実際、そうだと思うけど」


 透が笑ってそう言うと、愛乃はわざとらしくツンとした表情を作った。


「透くんがエッチなのがいけないんだよ」


「まあ、そうかもね。でも、愛乃さんが可愛いのが悪いんだよ」


 透がささやくと、愛乃はあたふたとした様子になる。「可愛い」と直球で言われて照れているんだと思う。

 そして、愛乃はふと気がついたように言う。


「ねえ、体を洗うときって、バスタオル、どうしよう……」


「ええと……」


 たしかにバスタオルをつけたままでは、当然、体を洗えない。

 透は覚悟を決めた。


「バスタオル、脱がしていい?」


「そ、それは……」


「何をしてもいいって言ったよね?」


「透くんの意地悪……。でも、いいよ。透くんがどうしてもわたしの裸を見たいって言うなら……許してあげる」


 愛乃はいたずらっぽく青いサファイアのような瞳を輝かせた。

 昨日は、お風呂の中で、愛乃を裸にして胸を揉みしだき、怖がらせてしまった。


 でも、今の愛乃は、怯えた様子もなく、むしろ期待するように透を見つめていた。

 そして、透はそっと愛乃のバスタオルの胸元に手をかけた。



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