第47話 強引な透くんも好きだよ?
「と、透くん?」
「いきなり抱きしめてごめん」
湯船の中で、透は愛乃を抱きしめていた。
愛乃は首をふるふると横に振り、そして、その顔を赤くした。
「ううん。嬉しいけど……急にどうしたの?」
「こうしたほうがいいかなって思って」
「近衛さんのことを抱きしめていたから、わたしにも同じことをしてくれたってこと?」
愛乃が澄んだ瞳で、透を上目遣いに見る。
たしかに透は、泣いている知香を抱きしめた。ほとんど裸の女の子を抱擁し、慰めていた。
それは愛乃からすれば、透が知香に対する異性としての好意の表れに見えたかもしれない。
でも、それは違う。
透は深呼吸をし、そして言う。
「近衛さんはさ、仲違いをしても、従妹で幼なじみなんだよ。だから、ずっと家族のように思ってきた」
「……羨ましいな。わたしは……透くんの従妹でもないし、幼なじみでもないものね」
「でも、今の俺の婚約者は、愛乃さんだ」
愛乃が目を見開き、まじまじと透を見つめた。
そして、嬉しそうに微笑んだ。
「そうだよね。透くんは……わたしのものだもの」
「愛乃さんも、俺のものだからね」
愛乃の体を抱きしめる力を、透は少し強めた。愛乃の柔らかい胸の感触が自分の胸板にあたるけれど、気にしないことにした。
透は愛乃に負い目があった。愛乃は、知香に遠慮しているように見える。
それは、知香が透に見せる複雑な感情と同時に、透の言動も原因だと思う。
透が知香に未練がないかといえば、完全に否定することはできない。
それでも、透は愛乃の婚約者となることを受け入れた。その力になるとも約束した。
(それに、昨日はお風呂やベッドでいろいろしちゃったし……)
だから、愛乃には、知香に遠慮なんてせず、堂々としていてほしかったのだ。
愛乃は透に抱きすくめられ、びくっと震える。
「透くん、今日はちょっと強引だよね。でも、強引な透くんも……悪くないかも」
「本当にそう思う?」
「うん。透くんにいろいろしてもらうのは……嬉しいもの」
愛乃は恥ずかしそうにうなずいた。
透はそう言われて、勇気を出してみることとした。
透はそっと愛乃のお尻をバスタオルの上から撫でる。
「ひゃうっ。ど、どこ触ってるの? あうっ」
透は手で、さわさわと愛乃の大きなお尻を撫で回してみた。弾力感もあって、とてもさわり心地がいい。
愛乃が荒い息遣いで呼吸しながら、ジト目で透を睨む。
「透くんのエッチ」
「愛乃さんだって、近衛さんに似たようなことをしていたよね?」
「あ、あれは……んっ。だ、ダメッ」
透の手は愛乃のバスタオルの中に潜り込み、直にそのお尻を撫で回す。正直、透は理性が吹き飛びそうになっていた。
愛乃は、かあっとますます頬を赤くし、けれど無抵抗に透を受け入れていた。
そして、愛乃が甘くあえぎながら、透を見上げる。
「あっ、んっ……お尻ばっかりじゃなくて……」
「胸も触ってほしいってこと?」
透はからかうように聞いたが、愛乃は目を伏せて、小さくうなずいた。
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