第30話 押し倒される北欧美少女

 ベッドの上の透の隣に、薄手のネグリジェ姿の愛乃が座っている。互いの手も恋人繋ぎのように絡めていた。


 そして、愛乃は透に恋人のようにしなだれかかり、青い瞳で透を上目遣いに見つめていた。


 愛乃は、襲ってもいいと言ったが、そんなわけにもいかない。

 風呂場でも、そういうことをするのは、お互いを本当に大事に思えるようになったときだと約束した。


 透がそう言うと、愛乃は微笑んだ。


「透くんは真面目だよね」


「そういう愛乃さんは積極的だね……」


「そうかな。あのね、わたし、透くん以外にはこんなことさせていいと思ったことなんてないよ? 男の人は苦手だし……」


「俺も男なんだけど……」


 まるで男扱いされていないようで、透にはちょっとショックだった。

 愛乃はくすっと笑う。


「透くんが男の子なのは知っているよ。わたしのこと、何度もエッチな目で見ていたもの」


「それは……うん、ごめん」


 愛乃が胸を押し当てたり、裸同然の姿で一緒の風呂に入ったりしたせいとはいえ、事実だった。

 愛乃は優しい笑みを浮かべる。


「謝る必要なんて、全然ないよ。だって、透くんは例外で……わたしにとっては特別だもの。だから、キスをするのも、え、エッチなことをするのも……初めては透くんがいいなって」


 そう言って、愛乃は透に甘えるようにささやいた。

 特別な存在と言われて、透は思わずくらりとするほど、嬉しくなった。


 両親は離婚して透に何の関心も持たなくなっていたし、かつて透に期待していた近衛家も知香も、透をいらない存在として切り捨てた。


 学校でも透は自分の居場所を見つけられないままだった。

 そんな透のことを、金髪碧眼の美しく優しい少女が必要としてくれている。


 透はそっと愛乃の肩に手をかけた。愛乃がびくっと震え、「透くん……」ときれいな声で透の名前を呼んだ。


 そのまま、透は手に力を入れて、優しく愛乃の肩を押す。


「あっ……」


 愛乃が小さな吐息をもらす。


 愛乃は仰向けに倒れ、その弾みに大きな胸が揺れた。ネグリジェが乱れ、胸元も際どい感じになっているし、裾がめくれ、白い脚も露わになっている。


 そして、透は深呼吸して、愛乃の華奢な体の上に覆いかぶさる。


 愛乃は顔を真赤にして、恥ずかしそうに両手で胸を隠している。

 そして、愛乃はぎゅっと目を閉じて、ささやく。


「わたしのこと……透くんの好きなようにしていいよ?」


 押し倒された愛乃の体は、透に支配されることを待ち望んでいるかのようだった。





















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