第4話やっぱり父親はかっこいい


 「ヘルダー公爵様でございますね。お待ちしておりました。中に入り時間までお待ちください。」

 

 そう言って、門の前に立っている騎士は、門を開く。うぅ、初めての王城と言うものは緊張するな。

そんな思いが伝わったのか、お父様が話しかけてくる。


 「緊張しなくてもいいんだよ。ただ、食べて飲んで、ちょっとお話するだけなんだから。」

 「いや、そんな飲み会じゃないんですから。国王にも会うんですよ。緊張しない方がおかしいです。」

 「あはは、リアは面白いことをいうね。でも、何か起きるわけでもないし、主に話すのは僕だからね。ほら、もうすぐでパーティー会場だ。」


 言われて前に顔を向けると、これまた豪華な扉があった。門も結構すごかったが、ここは王城と言うこともあって、金を使っているのだろう。

 その扉の両端に立っている騎士は俺たちに気づいたのか、扉を開け始めた。

 ここでは確認を行わないのか。騎士は開き終わったのかまた元の位置に戻り敬礼をしてくる。流石王城の近衛騎士。動きに乱れがない。


 中に入ると、ざっと50人ぐらいだろうか、その人たちが一斉にこちらに視線を向けてくる。まぁ、そのほとんどがお父様にだが。すごいな公爵。


 「いい、続けてくれ。」


 いつもとは違う口調にビックリする。雰囲気も俺といる時とは違い、カリスマ性に溢れていた。いつもこうだったらいいのに・・・

 

 すると、その中の一人から他の人の服よりも装飾が多い、やたら太った男が向かってきた。

  

 「いやー、これはこれはヘルダー公爵様。ご機嫌麗しゅうございます。」

 「あぁ、ラーメスト侯爵殿か。そちらも元気そうでよかった。そうだ、紹介しよう。この子が新しく公爵嫡男になった。リアだ。」

 「ほう、その子が。いやはや公爵様も大変でございますな。なにせ、貴族の血筋でない異端者を次の後継者にしなくてはならないのですから。グフフ」


 はぁ?なんだこのブt・・・おっさん?さっきから俺をゴミでもみるかのように見てくるし、貴族の血筋でない異端者とか言ってくるし・・・

 それが差別用語だって知ってんのか?あぁ?

 おっといけない。思わず汚い言葉を喋ってしまった。気をつけないと。


 「侯爵殿。今言われた言葉は撤回した方がいい。それにうちの子は手のかからない子でね。わずか7歳と言う年で、この国の法律を覚えるほど、本当にすごいのさ。」

 

 ちょっと待って、なんで知ってんのお父様。そんなこと一言も言ってないよね?


 「グフフ、まったくそのようなわかりやすい嘘はいけませぬな。たったの7歳で王国法を覚える?しかも、異端者が?そんなわけあるわけないでしょう。・・・ならば。おい、そこの小僧。この国の貴族法第八条はなんだ」


 はぁ?今俺のことをガキって言ったか、このブタ

しかもお父様のことを嘘つき呼ばわりだと、、、いいかお父様はな、嘘がすぐにバレるんだ!

 

 例えば、最後のアイスを誰が食べたか問題で、「お父様食べた?」って聞いたらものの5秒で白状したし!

 そんなことも知らずに嘘つきなんて言ってんじゃねえよ!

 そして俺がそんなことを考えていて何も言わなかったなのか、おっs・・・ブタは俺に話しかけてきた。


 「なんだ、小僧。やはりわからないのか。まぁ、そうだろうな、たったの7歳、異端者のお前が答えられるわけ」

 「貴族なるもの国家反逆を企んではならない。

貴族法の第八条です。」

 

 俺が言うとこのラーメストというやつは目を見開き絶句している。それとは反対にお父様はニコニコしながら俺の方を見ていた。


 「ほら、言っただろう。僕の息子は法律を覚えるほど、賢いんだ。あぁ、それと一つ言っておく。

 次、僕の子のことを異端者と言うなら、

      お前の居場所はこの世にないと思え」

  

 お父様にそう言われたラーメストは、顔色を変えて、脱兎の如く、逃げていった。太ってるくせに早いものだ。それにしても・・・


 「お父様、すごくかっこよかったです!」

 

 俺は血は繋がっていなくても、今の父親に素直な気持ちを伝えた。

 

 「そうかい?なら、よかったよ。さあ、パーティーを楽しんでおいで。僕は今から皆んなに挨拶して回らなくちゃいけないんだ。あ、あと。王城を見て回るなら、もしもの時のために医務室の場所を教えておかないとね。医務室はこの城の4階の右端にあるよ。」

 「分かりました、お父様。お気をつけて。」

 「うん、いってらっしゃい。」


 そう言ってお父様は他の人たちがいる所へといった。

 なるほど、これからは自由時間か。ふむ、それならさっきみたいな目に遭いたくないから、庭でも見てこようかな。そう思い、俺は扉の前に向かうと、騎士たちが開けてくれるのかと思いきや、何故かずっとこっちを見ていた。なんだ?


 「あのー、すみません。扉開けてくれますか?」

 「あ、はい!申し訳ございません。」


 おっ、今度は開けてくれた。少し、ボーとしていたのかな?そんなことを思いながら俺はお礼を言って、扉を通った。


 ♢


 私はクレル王国に仕えている一人の近衛騎士。今日は一年に一回のパーティーがあると言うことで門番を任された。

 

 門の中を次々と貴族たちが通っていく。そんな中三大公爵家であるヘルダー様いらした。そしてそのヘルダー様の隣には、灰のような銀のような髪をした、男の子がいた。見た瞬間なるほどと頭の中で合点した。

 ヘルダー公爵家が男児に恵まれず、養子を取ったと言う事は、小耳に挟んだことがある。たぶんその子だろう。

 私は失礼のないように敬礼し、この二人を中に入れる。そしてしばらくしていると、公爵家の二人とラーメスト侯爵の話し声が聞こえた。内容はまぁ、あの侯爵ならいいそうな差別用語ばかりだ。


 そしてその話し合い?の要点が今度はあの子どもに向いたようだ。


 聞き耳を立てていたらなんとラーメスト侯爵が子どもに貴族法の第八条はなんだと問うた。私はそんな問題解けるわけがないと思った矢先、


 「貴族なるもの国家反逆を企んではならない。

貴族法の第八条です。」


 その瞬間から私はその子をただの子どもではなく、一人の大人として、見るようになった。しかし、それが仇となったのかその方が、扉の前にいるのが気づかなかった。一つのことに目を奪われるとは騎士失格だ。気を引き締めないと、そしてあの方の観察も。


 

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世界救ってと、頼まれたのでちょっと勇者倒してきます。 こあた @shouryupin

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