第3話
ここにきてから半年がたった。その間俺はASSが調べきれなかった情報の穴埋めをしていた。そして新たに分かったことが3つある。
・この世界には全てでよっつの大国があり、その中でも最大のクレル王国。そしてクレル王国と敵対しているアルガード帝国。大きな湖や火山があり、水産資源が豊富なマラミヤ王国。最後に魔術具の生産が盛んなクラフィール公国。
・クレル王国とアルガード帝国の間に魔爆地帯があるせいでアルガード帝国はクレル王国に攻められないこと。
・この世界の童話に魔王と勇者の物語があること。
最後のはどうでもいいと思うかもしれないが、正直言ってこのことが一番重要だ。火のないところに煙は立たないというのと同じで、この物語の素材がない限りこの物語は生まれない。つまり、この世界には魔王と勇者がいたことになる。だが、それならこの世界の崩壊は起きないわけで・・・
あぁー、もう!わからないことは考えてもまとまらない。こう言ったものは時間が解決してくれるだろう。過ごしていたら、何かしらの出来事があるかもしれない。うん、そうしよう!って、ダメに決まってんだろ!世界の崩壊がかかってんだぞ!
はぁ、 ダメ無責任ノット無責任
そんなことを思っていたら、いきなりドアが開かれた。するとそこにはピンクのドレスを見にまとった金髪の天使がいた。
「おにいさまー、ばんごはんです!おとおさまと、おかあさまがよんでました!」
「はーい、今行くよ。エリシア。あと、いつも言ってるけど、ドアはノックしてから開けるように」
「うぅっ!わかりました。つぎからきをつけようとおもいます。おにいさま・・・」
「いや、ちゃんと反省できて偉いけどさ、気をつけようじゃなくて、ちゃんと気をつけて・・・」
「そんなことよりはやくいきましょう!おかあさまと、おとおさまがまってます!」
「そんなことって・・・はぁ、わかった。わかったから手引っ張らないで・・・」
♢
「やぁ、リア。朝ぶりだね。今日も、勉強してたのかい?」
「はい、お父様。今日は、この王国の歴史について勉強しました。」
実際はこの世界の地理だが。
「ふふ、リアは偉いですね。エリシアも貴方を見習って、よく言葉遣いの練習をしているのですよ。」
「そのことは知っていますよお母様。お父様に教えてもらいました。いつもエリシアが勉強しているって。」
「あらー、そうなの。リアからも褒めてあげてね。とても頑張っているから。」
俺ははいと返事をして席に着く。いつも食事はこの四人で食卓を囲む。そして、少し離れたところにメイドや執事がいる感じだ。そしてしばらくしていると、銀の蓋がお皿を包んで運ばれてきて、俺たち四人の前に運ばれる。
「「「「この世界の神に感謝を込めて」」」」
今言った言葉この世界で食事をするときに言う言葉らしい。この世界に神なんているのかと思ったが、お父様いはく皆何となく言っているんだとか。
昔からの習慣らしい。
すると突然、お父様が食べるのをやめ、食器を置きこちらを向いてきた。俺もそれに倣い食べるのをやめ、お父様の方を向く。
「何か用ですか。お父様?」
「あぁ、少し真面目な話するするね。リア。国王に呼ばられていてね。今日は一緒に王都に行こうか。僕と二人で。」
?話が読めてこないな。なぜ俺が行く必要があるのだろうか?
「なんでって顔だね。実はね、呼ばれたのはリアだけじゃないんだ。ほらこの前、年に一回上級貴族だけが集まってパーティーをするって話しただろう。それだよ。リアと国王は顔合わせって感じだね。」
なるほど。それなら納得できるこれから公爵家を受け継ぐ者が国王の顔を一度も見ていないとはあってはならないことだろう。そしてこのパーティーを機に挨拶に来いってことだ。
ふむ、こちらとしても都合がいい。王都に行ったら、この世界のことをもっと知れるかもしれないからな。
「わかりました。お父様。用意してきます。」
「うん、よろしくね」
すると途端に俺の横の席に座っている女の子______エリシアの方からバンっという音が聞こえて、そこにはエリシアが目に涙を含ませながら、立っていた。
「お、おにいさま、どっかいっちゃうの?」
「ち、違うよエリシア!ちょっと家を離れて、すぐに帰ってくるだけだから!ね?泣かないで・・・
」
「ほんとう?なら、すぐにかえってきてね。おにいさま・・・」
「うん、なるべく早く戻るから。ですよねお父様?」
「うーん・・・エリシアには悪いけど、実は王都に行くまで馬車で五日はかかるんだ。そして、僕がそこでしばらく仕事があるから戻るのは一ヵ月以上かな」
「そ、そんな。おとおさまひどいです!おにいさまをつれていってしまうなんて・・・」
「こら、エリシア。そんなことを言ってはいけませんよ。お父様だって大変なんですから。」
「うぅ! わ、わかりました。なら、たくさんおみやげをかってきてください!」
「わかった。エリシア、ちゃんと留守番してるんだよ。」
「話はまとまったみたいだね。なら早速行こうか。準備して、リア。」
「はい」
♢
晴れ渡った空の下の一本の道を数台の馬車が通る。その周りには銀の鎧を付けた騎士たちが並んでいる。いくつも馬車があるのは盗賊や魔物に襲われた時に囮になるためらしい。ちなみに、お父様と俺が今乗っているのは一番後ろの場所だ。
しばらくしていると、道の向こうから大きな白い壁が見えてきた。
「お父様、あれが王都ですか?すごく大きいですね」
「そうだよー。なんといっても四つの国のうち一番大きな国だからね。うちの領地の何倍もあるんだ」
俺はへぇーと驚きながら王都の方を見る。これまで別の世界でいろんな城を見てきたが、ここまでの大きさは初めてだ。
「あぁ、そういえば。リア、パーティーは明日の午後からあるから、今日は王都にある僕の屋敷に泊まるからね。」
「王都に屋敷があるのですか?」
「うん、僕たち貴族は王都で仕事をすることも多いから、絶対一つ以上は屋敷を持たないといけない決まりなんだ。貴族法で定められているようにね。まぁ、領地の方よりは小さいけどね。」
「そうなのですか。知らなかったです。」
知ってたけどね。こういう事はこの世界に来てから一番初めに覚えた。法律というのは、どの国でも一番ややこしいのだ。少しでも破って仕舞えば、罪を着せられる。
あと知らないふりをしたのは、怪しまれないためである。いくら毎日勉強しているからといっても、7歳で法律を覚えているのは流石におかしい。
「さあ、ついたよリア。明日のパーティーのために少し英気を養おっか。」
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