第2話家族

 「やあ、君がリア君だね。こんにちは。僕はクレル王国の三大公爵家が当主。エスト・ヘルダー公爵だよ。あ、かしこまらなくていいからね。君は今から僕の、いや僕たちの家族になるんだからね。とりあえず、馬車で移動しようか。」


 そう俺に優しく声をかけてくれるのは、茶色に似た赤色の髪をしており、目の色は青の身長は180といった結構高めの身長の男性だ。その人は膝を曲げ、腰を低くしてから、俺に喋りかけていた。 

 

 そう、膝を曲げて、だ。おかしいと思わないか?いくら身長が高いとはいえ、俺はもう一人で自立できる年まで来ているんだぞ。別に俺の身長が低いわけじゃない。にもかかわらず、この人は膝を曲げて、子供に話しかけるような態度をとっている。それはなぜか。 


 それは・・・俺の体が子どもになっているからだ!・・・・・いやなんでだよ! まあ理由は知っているが。実はフラム先輩や上の人たちからそのままの姿で行っては、王女や勇者に接触しにくいだろうということで俺に魔法をかけたんだ。子どもの姿になる魔法を。

 

 いや、それはいいんだよ。任務を遂行するためだからさ。でも、そのあとの写真撮影はなんだよ!フラム先輩は任務遂行のためだとかいっていたけど、絶対嘘だろ!はぁ、後で追加ボーナス請求してやる。 


 ちなみに、この魔法は自分の意思で姿を変えられるらしい。つまり、歳をとっていくごとに身長を変えられるということだ。すごいと思う。


 「・・・これからよろしくお願いします。エスト公爵」

 

 「もう、だから、かしこまらなくていいからねっていったじゃないか。それにこれからは君も公爵家の人なんだから公爵はつけなくていいよ。あ、そうだ!僕のことは、お父さんって呼んでよ。うんうん、それがいい。さぁ、はやくはやく!」


 ・・・こんな人が公爵家当主で国は大丈夫なのだろうかと本気で思った。この人、俺よりも子どもなんじゃないか?まぁ、どうせ俺の父になるのだから、呼んだ方がいいのだろうか?


 「……………………お父様………」


「うわーー!やっぱりいいねー。息子にお父さんと呼ばれるのは。僕には娘しかいなかったから、新鮮だよー。あ、娘っていうのは君の妹になる子だよ。面倒見てあげてね。まだ3歳でかわいい子なんだ。」


 これが親バカというやつか。今まで俺の知り合いには家庭も違いなかったから、少し戸惑う。それと、この公爵家に娘がいるのは知っている。先輩から聞いたからな。そして、それが俺が公爵家に入る理由だったりする。この公爵家には嫡男がいないのだ。

 クレル王国には貴族当主に嫡男は絶対に一人はいないといけないという貴族制というものがある。だから男の子に恵まれなかったエスト公爵家は養子を引き入れることにした。 

 

 それが俺だ。しかもその貴族制には一夫多妻は認められていなく、その貴族に嫁いだ令嬢一人が、務めるらしい。だから、男の子に恵まれなかった時はこうして養子引き取ることがある。だが貴族の中ではこうした例は1%にも満たない。 

 

 なぜかって?女性は強いからだよ。 

あと、話は変わるが今の俺は5歳という設定だ。いや設定というよりも5歳なんだが。そんな具合にお父様と話していると何やらでっかい屋敷が見えてきた。


 「ようこそリア君。ぼくがおさめる、ヘルダー領へ。そして僕の屋敷へ。僕は君を歓迎するよ。」



 名 エスト・ヘルダー 

 所属 クレル王国3大公爵家当主

 家族構成 妻 娘 追加:息子

 リアとの関係 父親

 




 「ただいまー!」 


 「・・・お邪魔します」


 「違う違う!このときはただいまでいいんだよ!」


 何故かお父様はこの屋敷に初めて入る俺にただいまと言うことを促している。確かに、家族なら当然だと思うが、まだ一度も来たことがないから、この場合は俺の方が正しいんじゃないだろうか?しかし、お父様に言われては俺も言わざるを得ないので、とりあえず言っておこう。

 

「・・・た、ただいま」


「おかえりなさいませ、旦那様。そして、貴方様も」


 「うおっ!」


俺がただいまを言った途端、端の方からメイド服を着た、女性が出てきた。今まで、全く気配を感じなかった。何かしらの武術の心得でもあるのだろうか?


 「あははー!リア君ビビりすぎだよー!まぁ、僕も最初の頃は驚いたけどねー。さて、紹介するよ。うちのメイド長をしているメアーナだよ。そして、メアーナ。こちらがこれから僕たちの息子になるリア君だよ。仲良くしてねー。」


 「はじめまして、リア様。先程、旦那様からも言われた通り、この屋敷のメイド長を務めさせております。メアーナでございます。何かしらのご様がございましたら、遠慮なくお申し付けください。」


 ふむ、メイド長をしているのか。ならここは誠意を持って挨拶をしなければならないな。だって、こういう人は俺みたいな初めて見る人を警戒するからね。今までの経験上。


 「はい。はじめまして、リア・ヘルダーと言います。これからお世話になります。色々と迷惑をかけてしまうと思いますが、よろしくお願いします。」


 「ッ⁉︎ これは驚きました。まだ5歳で、ここまでの挨拶ができるとは。」


 「ねー、リア君すごいよねー。馬車の中でも僕に的確な相槌をしてくれるんだ。不思議だね。」


 ん?何を話しているんだ?まぁ、いいか。どうせ大切なことでもないだろうし。そんなこんなで俺たちは屋敷の中にある、客室みたいな部屋に入る。すると、中には金髪の髪をした美女と、その人に抱っこされている、美少女がいた。


 「リア君。この人たちが君の母と妹になるんだよ。ヘルダー公爵家夫人、僕の妻でもあるミシルと、我が娘エリシアだよ。」


 「こんにちは。はじめまして、リア君。これから貴方の母になるエストの妻、ミシルです。お母さんて呼んでね。そして今私が抱っこしている子が、エリシアですよ。あ、今夫が紹介しましたね。」


 ふふふと淑女のように笑う。いや、淑女なんだが。それにしても綺麗だ。入ったとき一瞬天使か?と思ったぐらいに完成した顔立ちだ。そしてその美女に抱き抱えられている女の子も、おおききなったら振り向かない人はいないと思えるぐらいに可愛らしい。やばい、緊張してきた。


 「は、はじめまして。リアと申します。これからお世話になります。よろしくお願いします。お母様?」


 「あらあら、そんなに緊張しなくてもいいんですよ。ほらエリシアも挨拶しなさい。」


 するとエリシアと呼ばれた子がこちらを見てきた。

 「・・・・おにいちゃん?・・・」


 「お、お兄ちゃんだよー。これからよろしくね。エリシアちゃん。」


 正直言って破壊力抜群だ。首を傾げ、大きな瞳でお兄ちゃんと呼ばれたら全世界の兄は吐血するだろう。可愛らしい。


 「あはは、同志が増えてよかったよー。やっぱりこの可愛さは、広めるべきだねー。」

 

 いやこの可愛さは、絶対に補完するべきだ。変な輩が来るかもしれない。いや断言しよう、絶対来る。


 「さて、自己紹介も済んだし、そろそろ歓迎会でもしよっか。」

 

 そうして俺たちは歓迎会を楽しんだ。ああ、この家族はいいな。心からあったかくなる。


 名 ミシル・ヘルダー

 所属 ヘルダー公爵家夫人

 リアとの関係 母親


 名 エリシア・ヘルダー

 所属 ヘルダー公爵家令嬢

 リアとの関係 妹



 

 

 

 

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