作戦No.0028 出撃前

「どうした!」


敵の進行を知らせるための通信をしているリアン。

イストリアとヒストリアがストルを呼びに向かったので待っていたが、

やがて慌てているような雰囲気で彼女は現れた。何やら布切れが擦れるような音がするので、察するに着替えながらこちらに来ているのであろう。


「敵が、2時間後に進軍を開始する」


ドラードが静かに説明する。

それを聞くと一瞬ストルの着替えの音が止まった。


『…全兵力か?』


「…ああ、そうだ」


しばらく沈黙が起こる。

また着替えの音がわずかに聞こえてきた。


『…100万?』


「…ああ」


『ふむ…こうなってしまえば、どうやら我々だけでどうにかなる問題ではない。進行ルートは?』


「何も聞いてないよ。さっき、全員に出撃命令が出たの」


『ふむ…ならばリアン、無線機を持っていって外に出てくれ。調べてほしいことが2つある。まず1つは進行ルート。我々がいる要塞基地を制圧してから、首都を目指すのか、それとも要塞基地を避けて直接攻めてくるのか。そしてもう1つは、敵の装備の質、運んでいる兵器の量だ』


「分かった」


リアンはすぐさま飛び出した。

家から出るとすぐに、大きな大砲を運ぶ隊に出会った。輸送車に牽引する形で歩く速度に合わせて移動している。

すぐにそこにいた、制服が少し違っている、おそらく上官に当たる人物に近づいた。


「あの!」


「なんだ!」


緊張でピリついているのか、作業中に横槍が入ったことに不満があったのか分からないが、上官の男は少々不機嫌のこもった返事をした。


「首都に向かうんですよね」


「ああ!そうだ」


「直接向かうんですか?」


「いいや!まずはその手前にある大型の基地を狙う。あそこの兵力は相当だ。首都を攻めているうちに挟撃されたらたまったもんじゃないからな。順番で攻めるんだ」


「何日ぐらいかかるんですか?」


「そこはわからない!だが、体力の消耗を極力させないように時間をかけた進行をする予定だ」


「ありがとうございます!」


進行ルートの調査については、十分に情報を得ることができた。

上官はリアンが満足したとふんで、自身の作業に戻っていった。


リアンは、敵の装備を確認するため、街のメインストリートへと向かう。

その向かう途中に通信機を起動しストルと連絡をとる。


「進行ルートは基地攻略の後に、首都に向かうみたい」


『よし、それならば相当な時間がかかるな』


「かなりの時間をかけて進行するって言ってたよ」


『ふむ、だいたい見積もって、2週間ほどで要塞基地につくか。装備はどうだ?』


「今大通りに向かってるけど、もうどこを通っても大型の装備がいっぱいですごいよ」


『ふむ、どうやら相当の量あるとみえる。やはり2週間であっていそうだ。よし、もう必要な情報は得た。大通りまで行かないで戻ってくれ』


「わかった」


通信が途切れ、リアンは急ぎ足でドラードの元へ帰った。


「戻ったか、通信は聞いていたぜ」


『よし、お前たちはこれから、輸送車を1つ…いや、リスクが大きいか…』


「ああ、流石に目立ちすぎる。車両なら台数もきっちり管理しているだろう、1つ減ったら怪しまれる」


『うむ…ならば燃料を取るんだ。これからレンホスとダリアを輸送車で向かわせる。急いで向かわせても3,4日はかかるだろう。その間にお前たちは救助を求めていた者たちを探すんだ。仮に見つからなかったとしたら、お前たちだけで戻るんだ。あまり猶予はない。私は本部に連絡する。常に連絡を取れる状態にしておくんだ』


「了解」


「ああ」


通信が切れる。ドラードとリアンは目を合わせる。


「燃料か。あの倉庫どっかにあるかもしれないな。出発前のこの騒ぎの中なら盗むのも簡単だな。ただ…」


「ただ?」


「俺たちがウロウロしていて、出撃に巻き込まれるのが1番まずいな」


「ならどうする?燃料ぐらいなら全部を持っていくとも思えないけど」


「そう思うか?だがな、奴らのこの出撃はかなりの長旅だからな。中途半端に残しておくかどうか…」


「今のうちに取っておいたほうがいいかも」


「やっぱりそう思うか?」


リアンはうなずく。


「よし、早速行くか」



―――――あとがき―――――


投稿空いた期間で色々設定が吹っ飛んでるから多少の違和感は無視してね!


でわ!

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