作戦No.0013 リザルト1
敵の占有していた町をクレルとシェーロの2人だけで取り返した後、敵の無線網を使って基地にいるストルと連絡を取った。
その連絡を受けたストルと、ドラード、リアン、ラークの4人が町にやってきたのであった。
ここからは、クレルたちと、ストルたち双方が出会って早々の会話である。
「まさか2人で敵の占領地を奪還することができるとは思わなかった。よくやった」
新兵が初陣でやったことである。これは歴史上初めてのこと、非常に素晴らしい成果だ。
ストルはとても嬉しそうで、誇らしそうだ。
「これも全て魔法というやつのおかげか、なるほど、これほどの力を発揮することができるのであれば確かに、不利な状況に一発逆転劇を見せることが可能となるのだろう」
と言いながら、ずんずんとクレルのもとへ近づいて行くストル。
ストルは笑っている。それはもう、飛び切りの笑顔だ。そんな笑顔のまま、やけに早い足取りでクレルの元へ近づいていく。
そして、あっという間にクレルの鼻先とストルの鼻先がくっつくのではないかというくらいにストルはクレルに近づいた。
「…私の指示を覚えているか?」
闇の底から出したような声でストルはそう問いかける。
その時の彼女の表情は全く笑っていない。
「も…もちろん覚えております…ははは…」
クレルはストルの目を見ることができず、ぐるぐると視線を泳がせている。
「そうか、ならいい………いいのだが……」
グッ…
優しく、しかし力強くクレルの胸を小突いた。そのせいでクレルは後ろに一歩のけぞる。
「今後は、もっと冷静に判断することだな」
ゴゴゴ…
ストルの後ろに鬼が見えるほどの気迫に、クレルは冷や汗が止まらない。
「はい……」
か細いクレルの返事を聞いた途端に、ストルから発せられた威圧が消失した。
そして、何事もないかのように、
「よし、敵の装備がまるまる残っているな、ドラード、2人を連れてありったけの装備がどっかにあるはずだから…そうだな、見つけてこの建物に詰め込んでくれ。それとこの大型兵器、これは全部広場に集めるんだ」
「おー、よしお前ら、俺はあの辺探すから、お前たちも手分けして探すんだ。見つけたら無線で連絡しろよ」
ひらひらと手を振る後ろ背のまま、ドラードは町の中へと行ってしまった。
「じゃ、じゃあ俺はあっちを探そうかな」
「わ、私も!」
おっかないストルを横から見ていたラークとリアンは、サササッと素早い足取りで消えていった…
そしてストルは今度は離れた位置からクレルとシェーロの方を向いた。
「お前たちは、あっちに宿があっただろう。そこで休むといい。敵が来ない限り、今日はもう何もすることはない」
そう言われても、未だに固まったままのクレルに、
「それとも、お前たちもドラードの手伝いをするか?」
「はっ!クレル!行こ」
そうして足早に、気を利かせたシェーロがクレルの袖を引っ張り連れ出した。
そしてストルしかいなくなったところで、
「…そういえば、ここの無線装置はかなりの距離が届くんだったな。定期報告はここで出来るということか」
今回の報告は、珍しく吉報になるなと少し心躍らせるのであった。
―――――――――――――――
「ぷひー…おっかねぇ…」
未だにさっきの余韻が残りつつもクレルは、シェーロと共に町なかをゆっくり散策していた。
「そう?でもあの人の言ってたことは、私も確かに!って思ったもん」
「なあにが確かに、だよ。ホントに分かってんのか」
「もちろん!」
ほんとうかぁ?
今までシェーロがまともに理解していたようなイメージが無いクレルは、怪しげに見つめる。
「要するに、クレルの判断は間違えていた!!ってこと!」
ビシッ!
クレルのことを指差して軽く決めポーズ。
やっぱりよく分かっていないじゃないかとクレルは呆れる。
……
…
「いや、合ってるのか…」
落ち着いて考えてみれば、彼女が言ったことが全てじゃないか…
「どうしたの?」
「んー、いや」
もうすっかり先程の話を忘れている様子のシェーロを見て、これ以上悩むのは無駄だな、と判断しクレルは改めて町の様子を観察することにした。
「なんか、占領されてた雰囲気なんて全く感じないな」
「そうかな?誰もいないし、日常は感じないよ」
「そうじゃなくてさ。あああ!いや、そうなんだけどさ!」
なんとなく口からこぼれた言葉だ。特に意味はない。
もう戦闘は終わった。
それからは、特に何も無いまま、クレルとシェーロは言われた宿に着き、ベッドに横になると、1秒もかからないぐらいの速度で意識が深い闇の中に落ちていった。
―――――あとがき―――――
え、私の出番あれだけ⁉
えっと、リアンです。
実は私狙撃が得意なの、まだ活躍できてないけど。…もう知ってる?
そういえばこの話で一区切りみたいだよ。次の回は私が活躍する予定だとか。
だったら嬉しいね!
じゃあね!
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