作戦No.0008 攻撃されました

さて、

クレル達がこの基地に到着して1日が経過して、多少なりとも英気を養う事ができた一同は基地のすぐ近くの平原に集まっていた。

その場所は周囲に遮蔽物がないため敵に見られたら即撃ち抜かれてやられてしまうような場所なので、ベテラン勢は辺りを警戒して落ち着きがない。

一方、新兵3人とシェーロはそういった危機感がなく、呑気に日向ぼっこをしていた。


ちなみにイストリアとヒストリアはフィロスと追いかけっこをしている。

アハハと笑いながら追いかける双子と、必死に全力疾走するフィロス。その様子はまるで逃げるうさぎを狩る狼2匹のようであった。


「ふむ、集まったな」


このまとまりの無さについては無視することにしたらしいストルは、何事も無いように進めていった。


「おいおい、こんなとこで何やんだぁ?」


「すぐに中に入りたい気持ちだよ」


「そうね。でも、風が気持ちいいわ…」


「まあ待て、さっき上から双眼鏡であたりを索敵して、何もなかったから大丈夫なはずだから安心するんだ」


そうストルは言うが、ドラードもレンホスもガスポートも全然信じていない。


「はあ…仕方ないだろう。この水晶を試すのに屋内でやったら何が起こるか……撃たれたら仕方がないと割り切ることだな」


ええ………

という言葉が聞こえてきそうな空気が流れるものの、ストルはそれを気にした様子はない。


「ほら、さっさと使い方をマスターするんだ。どのみちこれが使えなければこれからの戦闘は絶望的だぞ?」


そう言いながらストルはシェーロのことを手招きする。

それに従ってシェーロはクレルの隣からストルの隣へと移動した。


ちなみにフィロスは双子に捕まって、もみくちゃにされている。


「これの使い方がわかるか?」


「うん?これ?……多分魔法を使えるようになるやつだよね」


「そうだな」


「魔法が使いたいの?」


「うむ、つまりそういうことだ」


「わかった」


シェーロは1歩前に出る。

ちらりとクレルが横を見てみれば、フィロスが紐でぐるぐる巻きにされて双子に運ばれていた。

しかも丁寧に猿ぐつわがされて、喋れなくなっている。


「人によって得意なことが違ったり、出来なかったりするけれど、基本的に魔法っていうのはものなの」


「…あー………あ?」


ガスポートには理解が出来なかったようだ。他のメンバーが理解できたかは、わからない。


「ほお、試しに1つやってくれるか?」


「うん」


シェーロは両手を前にかざす。その先には丁度フィロスと双子がいるのだが…


「わあ…」


「すっごおおーい」「どうやったの⁉︎」


突如、3人の周りの地面が花畑へと変化した。それも、かなり広大な距離。

突然の出来事に、全員が驚く。


ストルは、ほぉ、と感心した声をこぼしながら、シェーロに近づき肩をポンと叩いた。


「なるほどな。これはすごい」


ストルの言葉に、ドラードが腕を組みながら同意するように頷く。他の者も同じ気持ちである。


「他には何かできるのか?」


「ん?えっと…想像力次第で色々なことができるよ。ただ、できる限り鮮明に………あっ」


キッ!

突然、シェーロの視線が他所を向き、目に見えない速さで手を動かした。どうやら何かを捕まえたようだ。


「なに、これ?」


シェーロはクレルの元へ行き、右手でつまんでいた金属製の何かを差し出す。


クレルは素直に受け取った。

ストルや、他の人たちも何事かと気になり、クレルの元へ近づいてくる。

その様子を見てさらに、双子とフィロスもこちらへ寄った。


なんとなく、クレルは受け取ったそれを太陽に掲げてみた。


それはとあるものに似ていた………

何かというのならばそう…


「敵襲!!!!!」


「急げ!中に入るんだ!!!」



銃弾だった。



―――――――――――――――



「やっぱりじゃねえか」


「ふむ、まあ、仕方がない」


初めに自身で言ったとおりに敵に狙撃されても仕方が無いと割り切っているストルに、ドラードはため息を付いた。


「とにかく、このままだと魔法の練習ができない。そして、魔法が使えなければ勝利はない。つまり…」


「倒さなきゃいけないってこと?」


「うむ、その通りだリアン。というわけで、作戦を練るぞ」


―――――――――――――――


いつもの作戦室に集まり机の上にマップが置かれていて、全員がそれを見ている。双子は、椅子の上に立って、グイッと身を乗り出して見ている。


フィロスは、敵が来ていないか見張っているのでここにはいない。


「これが基地だ。そしてこっちが、さっき魔法の訓練をした場所だな」


ただの平原しか書かれていない場所の一部をペンで丸、その隣にも小さく丸をつける。


「シェーロが狙撃された場所、そしてその他諸々から考えるに、おそらくこのライン上から撃ったはずだ」


ピー、と2個目に書いた小さい方の丸からとある方向に線を引いていく。


「だがなぁ、流石にもういねえだろ」


「ああ、それは当然だ」


そう言いながら、ストルは最初に丸をつけた場所から離れた場所にもう1つ丸をつけた。


「なんだぁ?そこは」


「ここに、敵の基地がある」


「ほお、その根拠は?」


ドラードがさり気なく聞いたことに、ストルはピタッと動きが止まった。

え⁉と全員の視線がストルに集まる。


「………」


「………」


気まずい沈黙が続く。肝心のストルは何を言うべきかを頭の中で組み立てている。


「…まあ、前任から聞いた情報だ。信じるしかあるまい」


ドラードも、神妙に頷く。戦況は劣勢で、ストルの部隊は10人ほどしかいない。できることも限られるというものだ。


「しかし、暗くなることはない」


ストルはニヤッと笑う。


「さっきのあれを見ただろう」


ストルは、シェーロの方に視線を向ける。それに釣られて他のみんなも視線を向ける。


「?」


全員の視線を集めたシェーロは、小首を傾げるのであった。




―――――あとがき―――――


今日は私、シェーロがあとがきをやるよ!

ここまで読んでくれたみんなは私のことをどう思ってるのかな。クレルも他の人達も、まだ魔法が使えないみたいだから私は退屈してるんだ。お話もあんまり参加できてないし…

でも!次の話ではなんか楽しそうな予感がするよ…!


じゃあ、また見てねー

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