作戦No.0007 初陣?
「よしお前達、戦闘態勢!フィロス、この攻撃をどう思う?」
「キャッ!くっ………こ、これは、定期的にくるやつです!多分攻めてくることはないです。」
イストリアとヒストリアに両手で持ち上げられていたフィロスは、今の衝撃で地面へドスンと落ちた。しかし、苦しそうな表情を浮かべながらも、すぐに立ち上がる。
「そうか…だが用心しよう。油断は禁物だ。フィロス、我々はまだここに来たばかりで勝手が分からない。お前に頼らせてもらおう」
「は、はいっ」
「隊長、私達は…」
「まあ落ち着けリアン。うかつに動いては敵にスキを与えるだけだ。無線機がない今は特にな」
「全員ここに集合するのを待ったほうがいいね」
腰のレクシブを手で触りながら、笑ってレンホスはそう言う。
「うむ、ドラードももうすぐ来ると思うが…」
「あら?あの子達はどこに行ったのかしら」
ダリアはフィロスの隣を指差した。イストリアとヒストリアが先程まではいたはずだったが、今は誰もいなかった。
「ふむ、なるほど。手が付けられないとはこのことだったか………まあいい、あの2人に関しては、好きにさせておくのが1番だと聞いている」
「いつの間に………」
驚きを通り越して感心しながら、クレルは双子のいた場所をみつめるのであった。
「ねえねえクレル」
そう呼ばれてクレルは、隣りにいるシェーロに意識を傾ける。
「なに?」
シェーロはクレルの目の前にレクシブを差し出した。
「これはどうやって使うの?」
クレルは言われたことに答えるのに少しだけ時間がかかった。
「え、これ?ええと、ほら、ここ覗き込むだろ?真ん中に点があるだろ?そこに弾が飛んでくから、その点と、撃ちたいところを合わせて、ここをグッと押し込む。そうそう、分かっ……あっ!そこじゃなくって、ああ!」
ガキッ!
硬い金属が
レクシブの欠点として、銃モードから剣モードに切り替える際、銃に付属されているスコープなどが、全部飛んでしまうというものがあった。これらは銃モードに戻した際、手動で戻さなくてはならない。
「あれ?これじゃないの」
「違くて、あー、戻し方は…」
「もういい、そのままにしておけ」
そう言われて、シェーロはレクシブを触るのを止め手離した。
レクシブが、ワイヤーによってシュルシュルとシェーロの腰の位置に戻る。
「話を戻そう。フィロス、敵を迎撃できる場所に、皆を連れて行ってくれないか?」
「前のみんなが使ってたところでいい?」
「ああ。そこでしばらく待って、敵が来なければとりあえずは安心して大丈夫だろう」
全員がうなずく。そして、フィロスを先頭に早速目的の場所に向かう。
「おっと、その前に、これを…ラークに渡そう」
スッとストルがポケットから取り出したものは、首に挟むタイプの無線機だ。たまたま1番近くにいたラークに手渡す。
「状況に変化があればすぐにこれを使って私に知らせてくれ」
「了解」
そうして、ストルを残し作戦室から出るのであった。
―――――――――――――――
「敵襲だな!」
バン!と遅ればせながら作戦室の扉を開けて入ってきたのはドラードだった。
「ああ、だが、おそらくただの威嚇だろう。攻めてくることはない。一応、お前とガスポート以外の全員を迎撃に向かわせた」
「おお、そうだったか」
ストルの言葉に、ドラードはすぐさま落ち着きを取り戻して近くにあった椅子にドカッと座り、足両足を組み、机の上に乗せた。
立ちっぱなしだったストルも、ドラードに合わせて近くの椅子に座る。
………
……
…
静かな時間が流れる。
なぜこんな静かなのかといえば、2人とも警戒しながら音を聞いているからだ。
発砲音が発生した場合はすぐに動くつもりである。
とはいえ、もう数十分経つ。
「……もう良いだろう」
「ああ、おそらくな」
お互いに頷き合う。そしてストルは首にある無線機に手をかける。
「お前たち、警戒を解いて戻ってくるんだ」
『了解』
ラークの声が聞こえる、この無線機は、首元にあるスピーカーが、使用者の耳元に向けて音声が発せられるシステムである。
つまり、意外と音声が周囲に聞こえてしまうので、ドラードにもラークの今の言葉がしっかり聞こえていた。
「まあ、そもそもガスポートが来てない時点で攻めてくるわけがないんだがな」
「ああ…っと、そういえばあいつにも無線機を渡しておくのを忘れていたな」
「仕方ねえさ、それに、無かったところであいつならどうにかする」
「ふむ、そうかもしれないな」
一瞬、ストルが言い淀んだのをドラードは聞き逃さなかった。机から足を下ろし、グイッと体を前に出す。
「お?隊長はあいつただの筋肉だと思ってないだろうな」
「む、違うのか?」
「あっはっは!脳筋で生きていけるかよ!」
「……そう言われると、確かにその通りだな」
「あいつは状況判断能力がたけぇのさ、普段はだらしがねえが、いざというときは……」
やる男だぞ、とドラードは目で訴える。
ストルもそれを否定することはしない。
「…元々、この部隊に入った時点で我々は本部から一目置かれているんだ」
「ほー、あんたもか?」
「私も含めて、だ」
ガチャ
部屋の扉が開く予感を感じ、ここで会話が途切れる。
ゾロゾロと、フィロスを先頭に入ってくる。そして、それぞれが椅子に座っていく。
「フィロス、ガスポートにこれを渡してきてくれないか?」
ストルは、無線機を手渡す。
「はい」
そういうと早速フィロスは、トコトコと元来た道を行ってしまった。
そしてストルは、改めて集まった面々を見つめた。
既に戦闘を経験しているレンホスとダリアは、全く落ち着いているのだが、やはり新兵3人は未だに緊張が解けていないようだ。
そして、シェーロは…
「ふむ…」
彼女からは圧倒的な余裕を感じとった。
その理由がストルは気になったがとりあえず、今するべきことをすることにした。
「この様子であれば、敵が来ることはないだろう」
ドラードは立ち上がり、持ってきていた無線機を全員に配った。
「これを渡そう。必需品だからな。使い方はわかるな?」
うんうん、と新兵3人は頷く。
しかしシェーロは、小首を傾げる。
「よし、シェーロには、後でクレルが教えておくように」
各々、無線機を自身の首元に取り付ける。
シェーロも見よう見まねで真似をするが、いまいちよく分からずあたふたしていたが、既に着け終わっているラークが手を貸して、着けることができた。
「とりあえず、今日はもう休むんだ。その間に私がこの辺りの現状を把握する。だから今後の予定についても、明日決めよう」
「で、ずっとガスポートに監視させて置くわけじゃねえだろ?」
「うむ、もちろんその辺りも考えている。フィロスは私と残ってくれ、あとは解散だ」
―――――あとがき―――――
…ふむ、ここがあとがきか………
皆、はじめましてだ、いや、さっきぶりか?
私はストル。なぜここに私がいるのかといえば、キャラを定着させたいという作者の思惑のせいだな。
今回から各キャラがこのあとがきを担当するみたいだ。まあ、今回の話も楽しんでくれたらうれしい。
そうだな、今回…戦闘…あるような雰囲気が少しだけ出ていたが、残念ながらそれは無かったみたいだな。
少し、退屈に感じてないかという不安が作者に押し寄せていると聞いたぞ。もしかしたら、我々が活躍する時も近いかもしれないな。
まあ、ここまで読んでくれただけでも、とても嬉しく思う。
また見てくれ。
さらばだ!
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