作戦No.0006 新しい仲間

イストリア、ヒストリア。


彼女たちは現在、要塞基地の中を手をつないで歩いていた。

一応所々に案内板があるのだが、そのようなものなど全く見ないため、どこに向かっているのかもわからずただ道を進んでいた。


「なんか…」「ねー」


今の短いやり取りで、周りの景色が機械やケーブルだらけになってきていることを話していた。

双子ゆえにほぼ喋らずとも会話が成り立ってしまうのだ。



きょろきょろと、上を見たり、後ろを見たり、右を見たり、左を見たりしながら進んでいく。


すると、


「おお?」「なになに?」


彼女たちは前方にもぞもぞと動くなにかを見つけた。通路は若干薄暗いため、目を凝らしてみてもそれが何かわからない。



そう、近づかなければ、分からない。

ならば…


「………」「………」


2人は目を合わせ頷きあうと、ダッシュでその何かに突っ込んだ。


「「とおおお!!」」


「きゃあああああ!!!!!」


通路の隅で丸くなっている何かは、大きな悲鳴を上げながら双子の突進になすすべもなく押し倒される。

そのまま勢いが止まらず、もみくちゃになり、気づいた頃には、双子がその何かを押し倒す構図が出来上がった。


「あ!」「人だー」


そこでようやく双子は、その何かが人であることが分かる。

その人は、小さい女の子であった。全く幼さが抜けておらず、子供っぽいイストリアとヒストリアに比べてももう少し年齢が低い。突然の状況に理解が追いつかずプルプルと震えている。


しかしちゃんと軍服を来ている。


「なに⁉だれなの‼⁉」


もぞもぞと、押し倒された構図から脱しようともがく女の子。しかし、両手両足を双子にしっかりと抑えられているため身動きができず、やがて諦めたように脱力した。


「わたしたちは」「イストリアと」「ヒストリア」「「あなたは?」」


「わっ、わたし?わたしはフィロス。え?」


4肢を押さえつけられて、ジッと双子に見つめられる。


「どうしてここにいるの?」「なにしてたの?」


「て、点検をしてたの。壊れてたらたいへんだから。あなたたちは?あの人たちは?」


「あのひとたち?」「誰のこと?」


「え?わたしのなかまで…上にいるはずなんだけど…」


「ああ!あの人たち!」「あの人たちは帰ったよ?」


「ああ、そうなん……えええ!!!置いてかれ…ええええ!!??」


「「置いてかれちゃったねー」」


あはは!と双子が笑う。一方フィロスは慌てて、また、拘束を解こうともがく。


と、


「ふむ。これはどんな状況だ?」


突如新しい声が聞こえてきたので、全員が声のする方へ振り向いた。


そこには、通路のど真ん中にストルが堂々と立っていた。


「あ!たいちょう!!」「見てー!不審者捕まえた」


「え、ちがうよ怪しくないって!」


バタバタとあばれるフィロス。そんな彼女を余裕で押さえつけながら、双子は元気にストルに手を振っている。


それを見て、ストルが面白そうににやけている。


「ほお、年齢も近いしな、仲良くなったようで何よりだ」


ゆっくりと、3人の方へストルは近づく。

そして、横でしゃがんでフィロスの顔を覗き込んだ。


「私はストルだ。本日よりここの防衛は私の部隊が担当することになった。フィロスであっているな?」


「は、はい」


雰囲気にのまれながらも、フィロスは返事をする。


「そうか、お前は私の部隊に移動となった。今日からよろしく」


「おー!」「なかま!!」


「え?え?」


ストルが手を差し出す。いつの間にか拘束が緩くなっていたので抵抗なくフィロスはその手を取り、引っ張られながら立ち上がった。

双子はそれに合わせてフィロスの上からストルの隣へと移動する。


「ふむ、不思議そうだな。既に知らされているはずだが?」


「いいえ!聞いてないですよぉ!」


「まあ、忘れているのだろうな、仕方あるまい。とにかくそういうことだ。分かったか?」


「は、はい…いいえ!急すぎて何も………」


「「よろしくねー!」」


慌てるフィロスのことは完全にスルーし、ストルはフィロスに付いてこい、と目で合図し歩き出した。


フィロスも、それに従いストルの後ろに続く。


「どこに行くんですか?」


「うむ、作戦室だ。ちょうどこの2人も拾うことができたからな」


隣りにいるイストリアとヒストリアの頭をポンポンと軽く叩いた。




それから、一定の速度で歩くストルの周りをぐるぐると、はしゃぎまわるイストリアとヒストリアにフィロスが巻き込まれながら作戦室の前に到着すると、向こうの方からクレル達がやってきた。


「ふむ、様になっているではないか」


「おー!」「かっこいい!!」


新兵3人を見るなり、そんな感想が溢れる。


「ええ、しっかりと、優しく、教えてあげたわ。ところで、その可愛い子はだあれ?」


ダリアは、イストリアとヒストリアに体を持ち上げられ、まるで生贄を運ぶような状態になっているフィロスのことを指差した。


「分からないか、ダリア。あれはここに潜入していた敵だよ。大方、あの2人になすすべもなくやられてしまったんじゃないかな」


「うーん」「たしかに弱かった」


フィロスを担ぎ上げながら、いつになく真剣な表情になって双子はそんなことを言う。


「え?いやいや!ちがくてちがくて!さっきここに来るときに…あれ?いつの間に私こんな事になってるの⁉」


バタバタと暴れるフィロスだが、やはりこの2人に対して暴れたところで無駄で、あはは、と笑いながら押さえつける。


「なんか、私達よりも小さくない?もしかして迷子?」


「いや、ここは最前線だよ、民間人がどうやって迷い込むんだか…」


騒がしくなってきたところで、ストルが1つ咳払いをした。皆の注目がストルに集まる。


「ああ、ラークの言うとおりだ、ここに民間人が来ることはありえない。彼女はフィロス。今日から私達の部隊に参加する」


「おお、まさかの仲間か!」


「…仲間なのにあんな目にあってるの?」


「ふむ、まあ、歳が近いからな。仲良くやる分には問題ない」






ごおお…


地面が揺れる。

ストル以外の全員が揺れに耐えきれずフラフラとよろめいた。


「わあ、 地震みたいだね」


「シェーロ、多分そんな呑気なものじゃないと思う」


「うむ、どうやら敵襲だな。全員、戦闘態勢」



―――――あとがき―――――


やったぁ!主要キャラ全部出たぞぉ‼

投稿遅くてごめんね。


ではっ

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