作戦No.0005 装備
「よし、集まったな」
要塞基地内部。
真ん中に大きな机があり、それを囲うように椅子が並べられた部屋でストルの声が響く。
クレルたちは全員椅子に座っている。いや、イストリアとヒストリアに関しては、ガスポートの膝の上に座っていた。
「ここは前線基地、激しい攻防戦をしている場所だ。分かるか?今は静かだが、少し離れれば敵の基地がある。気を引き締めて行動するんだ。おい!ガスポート!!寝るな!!!」
「………んあ?………」
ゆっくりとした動きで薄く目を開け、ガスポートはストルの方を見た。
そして、んおおおお!!と大きく伸びをする。
「そうは言ってもよぉ。おれぁ、いっつもこんなとこにいたんだぞ。今更そんなことを、なぁ?」
「ほら隊長よ。こいつはこんな奴だってのは有名じゃねえか」
ドラードに諭されて、ストルは、ふう…とため息をつく。
「もちろん分かっている。だがな、そこの新兵のことも考えてやってくれ。油断は死に繋がる」
「んぁ?ああ。
「ガスポート!」「空気よめー」
自身の膝の上にいる2人に言われてしまえば従うしかない。椅子に座る格好はだらしないものの、ガスポートは視線をストルに向けた。
「よし、まずは装備を整えなければならない。クレル、ラーク、リアン、お前たちはまだレクシブを持ったことはないだろう」
コクリ、3人それぞれがうなずく。
ちなみにレクシブとは、軍採用の銃と剣両方の機能を持つ万能武器のことである。
「だろうな。この基地の武器庫に装備一式があるはずだ。レンホス、ダリア、新兵たちと一緒に行っていろいろと教えてやれ」
「了解した。ところで彼女は?」
レンホスが言う彼女とは、クレルの隣に座っているシェーロのことだ。
「ふむ、装備は余ってるはずだ。一応渡しておいた方が良いかもしれないな」
レンホスとダリアはうなずく。
「ガスポートに関しては、まだ修理中だからもう少し待ってほしいと言ってたぞ」
「おおぉ……」
悲しいうめき声とともに椅子からズルズルと沈んでいくガスポート。
双子が、座り心地が悪くなったのか「ジャーンプ!」と言ってガスポートの膝から向かいの空いている椅子2つにそれぞれ飛び移る。
その素早い動きに、クレルは驚き目をみはった。
「と言うことだから武器のないガスポートは観測室に行って敵が来ないか見ていてくれ」
「おおぉ……」
またもや悲しいうめき声を出しながら、ガスポートは渋々部屋から出ていった。
「何が修理中なの?」
ガスポートが去っていった扉を眺めながら、リアンは聞いた。
「彼専用の武器のことだよ。とは言ってもレクシブをただ大きくしただけなんだけどね」
レンホスが、両手をいっぱいに広げ武器の大きさを説明してくれる。
「へー」
「いまいち想像できないようだね。まあ、実物を見るしか無いかな」
分かりやすく空返事をするリアンに、ははは、と笑った。
隣のダリアも、「仕方ないわ」といった表情をしている。
「それで、話を進めるが、ドラードはここの設備を確認してくれ」
「おう」
ドラードに指示をすると、ストルはジッと双子の方を見つめる。
「んー?」「なあにー?」
双子に見つめ返されてもなお、ストルはジッと見つめていた。その表情には、扱いに迷っている雰囲気がある。
「お前たちは……………………この施設に怪しいものがないか見回っていてくれ」
「わかったー」「はーい」
元気に両手を上げて返事をする。そしてその勢いのまま椅子の上に立ち、「「ジャーンプ!!」」と言いながら、机の上を飛び越えて扉の前に移動し、素早く扉を開けて去っていった。
「元気ですね」
ラークがそんな感想をこぼす。
うむ、とストルがうなずく。
「あれがあの2人の強さだな」
「どういう事?」
「うむ、あの動きで敵の死角をつく。そこにいると思えば、もう既に他のところにいる」
「彼女たちはよくレクシブの剣モードを多用する。僕も見習いたいところだね。でも、裏をかくのは……やはり正々堂々……」
レンホスが補足で説明する。しかし彼自身、納得がいっていないようだ。
「よし、では、1時間後にここに戻ってくるように」
「「「了解」」」
―――――――――――――――
かちゃかちゃという音が武器庫内に響く。
「そうよ。いいわ」
「え、でもっ」
「安心して、ゆっくりやってあげるから」
「うっ、きっつい」
「大丈夫、もっといくわよ」
「うう…」「よし、出来たぞラーク君、これがレクシブの装備方法だ」
クレルとダリアの声が響く中、突然レンホスの大きな声が全てをかき消した。
「これでいいわ」
ダリアが立ち上がる。
クレルは、背中に、剣の形をしている銃を背負っていた。
その様子は、まるで剣士だ。
既にリアンとシェーロは装備させてもらっているのでこれで全員終わりだ。
「おお!!かっこいいですね」
ラークは嬉しそうに背中に背負っていたレクシブを手に持って眺めている。
「ラーク君、レクシブを離してみるといい」
そう言われて、ラークはレクシブを手からパッと離した。
すると、レクシブに繋がれているワイヤーによって、シュルシュルと背中に背負う形に戻った。
ワイヤーは細いので、側から見ればラークがレクシブを手放した瞬間に、勝手に背中に収納されていくように見える。
「「おおお」」
これには思わず、リアンも、クレルも、ラークも、シェーロまでも感心した。
「腰の銃も同じだよ。手から離せば勝手に戻っていく」
腰に下げられているのは、レクシブの小さい版だ。レクシブを長剣だとするのであればこちらはナイフと言ったところだろう。
「これで、完璧だよね」
「そうよ。さあ、戻りましょうか」
新兵たちは武器を装備し、作戦室へ戻るのであった。
―――――あとがき―――――
魔法?まあ待ちたまえ。
バトル?まあ待ちたまえ。
次回はまた、新キャラが出ます。
みんな大好き?頭がいいタイプのロリです。…全体的に小さい子が多いような……ダリアさんに頑張ってもらおう…
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