第107話 東山のドワーフ【3】

「サイちゃん!あそこに洞窟がある」

「大きな洞窟ね、でもこの船では入れない」


「そこで!ジャーーン!!2٠5メートルのゴムボート2馬力のバッテリーモーター付き」

「チョッとセコイ?」

「このサイズのボートに、このモーターなら無免許で乗れる……法令変わって無いよね」

「異世界だから、法令無視して良いんじゃね!」

「言われて見るとそうね!操船してたから植え付けられた法令遵守の癖が出て」


 ゴムボートに乗り移って、クルーザーを戻しました。

「船消しちゃうの?」

「この距離なら水上バイクの方が便利よ」

「じゃぁゴムボートでなく水上バイクで行けば?」

「洞窟の中がどうなってるか不明だし、ユックリ行く手こぎも出来るし、砂浜があればゴムボートの方が上陸し易いよ」


 洞窟の中は青い明かりが充満していて暗くない、所謂いわゆる青の洞門です。

 それほど深い洞窟では無く、直ぐに明るい砂浜にたどり着きました。

 砂浜の向こう岩山には階段があり、上に登れるようです。

「この洞窟で正解だったようね!」

「人工の階段?上がれそう」

 砂浜に上陸し、ゴムボートを戻します。


「身体強化した体術と、武器は華子さんにコピーして貰った拳銃」

「「了解!」」

「三人乗りクルーザーじゃ無かったら、華子さんにも来て欲しかったね」

「華子さん強いから、でも未だに魔法使えない」

「若いのに頭が固い」

「豪君、華子さんに言ってやろ」


 雑談してる間に頂上に着きました。

 絶壁の頂上は盆地になって居て、池があって農地もあって自給自足が可能な地のようです。

 建物は意外に立派で、石組の家が12軒建っています。


 私達が近付くと、建物から10人程男が出て来ました。

「俺達と同じくらいの背格好、黒目黒髪の細いドワーフだな」


 先頭の男が声を掛けて来ます。

「ノームの里、初の訪問者が同族とは嬉しいぞ!」

「ノーム?始祖ドワーフじゃ無いの?あっ!初めまして!私は女神聖国の王!女神サイ!この二人は使徒のゴウとススム」

「女神聖国?女神様と使徒様?」


 お互いファーストコンタクトは??でした。


「立ち話もなんだ、こちらに来てくれ」

 少し大きい建物、身長130~150㎝に合わせた低い平屋の家の中では大きく見えるが、近付くと小さな家です。

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