第106話 東山のドワーフ【2】

「私ロッククライミングもフリークライミングの経験も流石に無いわ」

「これは無理だね」

「う~ん…身軽な小鬼族が登れないって」


 アイガー北壁を彷彿する絶壁が行く手をはばんでいます。


「地図で確認すると、この上か向こう側なんだけど…」

「誰も往き来出来ない場所に住んでるとは、始祖ドワーフの情報が皆無なはずね」

「そんな高山じゃ無いんだけどな、山肌なら土魔法で階段作れるけどかべじゃ無理だな」

「サイちゃん、諦めるはず無いよね?何か考えがありそう」

「山を登れないなら河をさかのぼれば良い、けどマッスルーウムに乗って行くのは茸人の体力的に無理」

「それじゃ方法無し?」


「ところが私、平成になって直ぐの頃友達と難関だった1級小型船舶免許取得したの」

「難関?高校生でも取得したって聞いたぞ」

「平成15年に改定される前の話よ、今の免許じゃ無理だけど私が取得した頃の1級小型船舶免許は、水上バイクでも小型客船でも操縦できる何でも有りの万能免許、ただし小型船舶20トン以下24メートル以下の船に限るけどね」

「でも船は所有して無かったでしょ」

「散弾銃と一緒、イグリス神が変えてくれた、以前所有又は慣れ親しんだ物は詳細に思い描けば召喚出来る、でね実技講習の時の小型客船もしくは一時所有してた3人乗りクルーザーなら召喚出来るはず」

「すげぇ!サイちゃん最高!!」

「操縦免許って整備士ありきの免許、故障したらお仕舞いなの!だからヤケクソ、召喚毎に整備完了船舶を新規召喚するの、そうすれば客船の軽油補充も必要無しよ!」


 と言う事で桟橋を作りました。

「客船を出しても皆は乗れません、なのでクルーザーを出します」

「「「「「「「「「「おーーぅ!!」」」」」」」」」」

 ポークマン達突然船が現れて驚いてる。

 召喚して直ぐに艫綱ともずなを欄干に繋ぎました。

 桟橋と乗船口はほぼ同じ高さ「豪君進君、乗船して救命具着けてね!久し振りの操船ぶっつけて沈没させても助かるように」

 私も救命具を着けました。


 エンジンをかけて見送る華子に艫綱を外して貰う。

 法令が質面倒臭いだけで、操船は自動車より簡単なのよね。

「サイちゃん操縦上手い」

「脅かすからどんな酷い事になるかと思ったぞ!」

「ああ言わないと、救命胴衣着けてくれないでしょ」

 と言っている内に山脈を抜け、突然海にでたようです。

「うわぁ!こちら側も断崖絶壁だ」

「地図を見ると○はもう少し先だな」

 接岸出来ないと調査に行けません、船舶の不便な所です。

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